醫王山慶昌院(瀬戸市城屋敷町) 瀬戸MENU

舟形高44p 三 面八臂 坐像 持物(鉾×2・宝珠・水瓶・数珠)

   
【左】典型的な馬頭観音像      【右】豊かな表情     .

   禅寺の境内に
瀬戸街道の共栄通6丁目から南に2本入ったところに,曹洞宗の禅寺,醫王山慶昌院があります。本堂などの伽藍の西側が広い駐車場になっているのですが,その南側に木立に囲まれるようにして沢山の石仏が並んでいます。中央にあるひときわ大きなのが「持経白衣観世音菩薩石像」。高さ2mあまりの大きな石仏です。昭和になってから造られたものだそうです。その後方を取り囲むように,西国三十三箇所巡りを表すのか,番号を刻んだスタンダード・サイズの石の観音様が並んでいます。ちなみに慶昌院は,尾張三十三所観音の二十七番目の霊場だということです。なお九番の観音様が三面ですが,これには馬頭がありません。向かって右手の方にあるのが馬頭観音でした。

   彫りの深い典型的な馬頭観音
舟形の高さが44pと,そんなに小さな石仏ではありませんが,なにしろ白衣観音像が大きいだけに,とてもコンパクトに見えてしまいます。舟形の先端が例によって欠損している以外は風化もほとんど見られず,非常に保存が良い状態です。制作年代が比較的新しいのかもしれません。頭部・胴部ともに立体的に表現されています。手前の二臂は馬口印を結び,脚は輪王座(両膝とも立っているのが変わっていますが)と,典型的な馬頭観音像です。

細かに彫りこまれた表情は豊かで,見る者に迫り,何かを訴えかけるようです。中央は憤怒面,左は菩薩面と定石通りですが,右のお顔は苦悩を表しているように思えます。上記のように新しいもののようですが,顔立ちからは昭和というよりは大正以前のような気がします。縦長の宝冠の正面には馬頭が浅めに彫られていますが,はっきりと見て取ることができます。いささか狐のようにも見えますが…興龍寺の馬頭観音の馬頭に,ちょっと似ています。

   持物は鉾が2振り
舟形上の6本の腕は立体的な頭胴とは対照的に,浅い線彫りで簡素に表現されています
。変わっているのが持物です。左右とも,一番上の腕が三叉の鉾らしい武器を振りかざしているのです。同じ持物が二つというのは珍しいのではないでしょうか。尾張旭・瀬戸・長久手で見つけたのは初めてかも知れません。水瓶の持ち方もユニークで,首の部分を持ってぶら下げるのではなく,胴を掌に載せています。 

   三州街道沿い?
慶昌院のある場所は,尾張旭の南原山にある追分(馬頭観音と十一面観音がある)から東に伸びる旧街道沿いにあたり,さらに東へたどると三州街道へと繋がっていたのでしょう。33体の観音像などを並べた時,もともとは街道沿いにあった馬頭観音をここに移したものと考えられます。


中央が白衣観音 右端の円内が馬頭観音