Alfa Romeo ALFA156 2.5V6 24V (6MT) 1998年6月

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派手なウィングやスポイラーをつけていました

話の始まりは1本の電話から。日曜日の午後,車好きの悪友から「絶対に乗ってみるべきだ」と興奮した声で告げられました。彼と違って輸入車には縁のない私ですが,仕事で煮詰まった頭を少しはリフレッシュできるかな?と,重い腰を挙げた次第です。

いやはや,感動ものの試乗でした。黒一色のコックッピットに,低く落とし込んだ着座位置。とても4ドアセダンとは思えない感覚です。いや,そんなことより特筆すべきはエンジンのフィーリングです。アイドリングに近い回転から,ゆっくりとアクセルを踏み込むと、ヴォロロロ…といった,いかにも「アルファ!」という排気音とともに,滑らかに車速が増してゆきます。豪快なのに,少しも粗野ではないという印象(我ながら陳腐な表現!)。一般公道での試乗ですから,フルスロットルまで踏んだときでも,そこそこの速度(?)までしか試せませんでしたが,我がBG9より重量で40kg軽く,出力で15ps強力なだけとは信じられませんでした。

ハンドリングもシャープの一言につきます。市街地での試乗のため,交差点での特性しか確かめられなかったのが残念ですが、ほとんどロールもせずに,鼻面の向きがぴたりと決まります。オーバースピードぎみに突っ込んでみても,アンダーひとつ出さずにすんなりと曲がってしまいました。素人が試してみる速度域では,FFという駆動形式をまったく意識させない自然なセッティングなんですね。

シフトフィールもまずまず。シフトレバーそのものが長く,ストロークの大きさはユーノスとは較べるべくもありませんが,例えばFFスポーティモデルのAE92あたりと較べると,はるかにしっかりした感じでゲートに入ります(値段が3倍も違う2台を較べては、AE92があまりにもかわいそうですネ)。ちなみに,6速ミッションは市街地では宝の持ち腐れ。マツダ・ロードスター1.8gの6速が市街地でも使えたのに対して,アルファの方はクルージングギヤ的に感じました。高速道路では快適なんでしょうね,きっと。

アイポイントがセダンとしては低いにもかかわらず,体感速度が低いのは,はたしてプラスなのかマイナスなのか…。80km/h出ていても,せいぜい70km/hくらいにしか感じられません。ABSの作動はかなり遅め。平坦な路面では,一気に蹴りこむようなパニックブレーキでも,なかなか作動しない感じです。気に入らないのはステアリング・コラム左側のウインカーレバー。DINだかISO規格だか知りませんが,右ハンドル+左手シフトのマニュアル車では,交差点手前でうっとぉしい思いをすることは確実です。その点,トヨタ キャバリエはえらい!オートマなのに右手ウインカーにしていますから。

400万円という値段は別にしても,自分の所有車両の中に位置付けできないのが幸い(笑)です。レガシィの代わりに,スキーの足にするにはちょっとつらいものがありそうだし,かといってユーノスの代わりというには中途半端だし…。自分の使い方に合っていたら,本当に欲しくなりそうな1台です。”Alfa Romeo”という記号性を除いたとしても,すごい車だと思いました。ちなみに「イタ車って,壊れません?」という質問に対するセールス君の答えは,「以前ほどじゃないですよ。でも,国産車なみの信頼性を期待しちゃいけません」でした。やっぱりアルファは,通勤の足には似合いませんか?!

ところで,電話で「すごい,すごい。次に買うならぜったいあれだ」と騒いでいた友人は,結局ゴルフのワゴン1.8gを買いました…なんだったんだ,いったい。