生活習慣の変化に伴い生活習慣病は著しく増加しています。生活習慣病は病初期においては

 ほとんど症状が出ませんので silent disease(沈黙の病気)と呼ばれています。

 ところがこの病気の恐ろしいところは、合併症が出たときにはもう元の体には戻らなくなって

 いることです。

  今回の特集では生活習慣病についての理解を深め、病気にならないようにどのように生活習慣を

 変えるべきかを考えていきましょう。


     ★生活習慣病とは ★生活習慣を改善するには  ★食事療法について
     ★運動療法について ★体重を適正にする  ★ま と め


★生活習慣病とは


  「生活習慣病」とは「食・運動・休養・嗜好(喫煙・飲酒)などの生活習慣が、その発症・

 進行に関与する疾患群」の総称です。例えば喫煙と虚血性疾患や肺がん、塩分の過剰摂取と

 高血圧や脳卒中、肥満と糖尿病、アルコール摂取と肝障害、など生活習慣と病気は密接に

 結びついています。

  以前は「成人病」と呼ばれていましたが、これは加齢だけが原因のように響くため、最大の原因

 である生活習慣を強調した形の「生活習慣病」という呼称に変更されました。

  生活習慣病は海に浮かぶ氷山にたとえるとわかりやすいと思います。 (下図)

            

        高血圧   高脂血症   糖尿病   高尿酸血症(痛風)

            肥満・過食・運動不足・アルコール・ストレス

  肥満・過食・運動不足・アルコール・精神的ストレスなどが氷山を形成します。氷山の表面には

 高血圧・高脂血症・糖尿病・高尿酸血症(痛風)などの山(病気)が存在します。

  この山の高さは遺伝的背景によりそれぞれの人によって違います。また加齢(老化)によって氷の

 比重が軽くなり、氷は年とともに浮かび上がり易くなります。こうして氷山が大きくなり、

 (生活習慣の悪化)比重が軽くなる(加齢)事によって、山の高い(遺伝的に弱い)ところから

 病気が出てきます。

  薬で治療する薬物療法は、この氷の山を削っていくことになります。(図参照)ですから

 一時的に氷の山が消えても薬をやめればまた元に戻ります。また氷山がどんどん大きくなれば、

 遺伝的に強い(病気になりにくい)ところでも山として浮かび上がってきます。大切なことはこの

 氷山全体を小さくすることにあるのです。


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★生活習慣を改善するには

        
        生活習慣改善を実践に移す3つのステップ


   1 正しい健康情報について学ぶ

   2 自分のどの点が悪い習慣なのか考える

   3 個人にあった改善実施計画を立て、ゆっくり実践する

    治療の必要性を認識したうえでの自発的行動となることが大切。

    「医師に言われた」、「家族がうるさいので仕方なく・・・」ではダメ。

    結果は早急に問わないが、継続して前進すること。

    

          

            高血圧 ・ 高脂血症 ・ 糖尿病 ・ 高尿酸血症

                    
           
         高脂血症の薬物療法
    

薬物療法にて高脂血症は改善するが、氷山は大きくなり、 
続いて高血圧・糖尿病・高尿酸血症が浮かんでくる。
 氷山全体を小さくすることが肝要

  要点を表にまとめました。治療が確実に行われるためには、まず第一に病気に対する理解

 が必要になります。症状がないのになぜ病気なのか、放置しておくとどのような結果がまっているか、

 しっかり学ぶことです。

  続いて自分の生活習慣でどの点が悪いところかを考え、治していく。先に述べたように氷山を

 一時的に小さくしても、しばらくして元に戻ったのでは意味がありません。小さいままにしておく
ことが大切なのです。

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★食事療法について

  食事療法の基本は、 @決められたカロリー量を A栄養素を考え B3食を時間どおりに

 
食べることです。1日に必要なカロリー量は、その人の体格と体を動かす量によって決められます。

 そのカロリー量の範囲で栄養素(糖質・蛋白質・脂質・ビタミン・ミネラル)のバランスをとり、

 塩分・コレステロールのとりすぎに注意し、食物繊維は十分にとることが大切です。また朝食を

 抜くと一度に大量に食べる、といった偏りも避けるべきです。

  特別な場合を除いて、食べていけないものはありません。また食べ過ぎてよいものもありません。

 とにかく"バランス"が問題なのです。


★運動療法について

  いつでも、どこでも、一人でも行える。費用のあまりかからない運動が望ましいと思われます。

 週一回でも何もしない人に比べれば身体に良いことは明らかですが、週3〜4回、出来ることなら

 毎日の日課とすることが大切です。

  したがって"歩く(ジョギング)"を基本と考えるのがよいでしょう。また肥満の人は体重により、

 膝関節や足関節を痛めることがありますので、負荷の少ない水泳・自転車が適していると

 いえます。

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★体重を適正にする


  食事療法・運動療法が十分に行われれば、肥満の人でも体重が適正となり、氷山をかなり
 
 小さくすることができます。身長から見た標準体重は、身長(m)×身長(m)×22(kg)で

 計算されます。

  もう一つの体重の目安は20歳の時の体重です。20歳というのは身長が伸びきり、筋肉が

 十分についていて脂肪も少ない時のものです。私の経験からすると20歳の体重より10s増加

 すると生活習慣病が何かしら浮かび上がってくるようです。

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         ま と め

生活習慣病はほとんど症状がありませんが、放置することにより合併症(死に至る病)は、

確実進行してゆきます。毎年健康診断を受け、もし病気が見つかった場合には、しっかりした

生活習慣を身につけることの大切さを理解し、実践して下さい。

 

  


  
             

 本稿は広報して掲載されました。

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