2524m

前掛山山頂(2524m)より浅間山山頂(2568m)を望む。
平成21年4月7日より噴火レベル「2」(火口周辺規制)となっていましたが、平成22年4月15日午前11時に噴火レベルが「1」(平常)に引き下げられましたので、平成22年4月17日(土)から、火口から500m(前掛山)まで登山者の自己責任で登山できます。
登山できるコース
A 黒斑(くろふ)コース
   1.高峰高原・車坂峠⇒ 槍ヶ鞘⇒ トーミの頭⇒ 黒斑山⇒ 蛇骨岳
    ⇒ 仙人岳⇒ Jバンド⇒ 賽の河原分岐点⇒ 前掛山までの登山道
   2.高峰高原・車坂峠⇒ 槍ヶ鞘⇒ トーミの頭⇒ 草すべり⇒ 湯の平口
    ⇒ 賽の河原分岐点⇒ 前掛山までの登山道
B 火山館コース
    浅間山荘登山口⇒ 一の鳥居⇒ 二の鳥居⇒ 火山館⇒ 湯の平口
    ⇒ 賽の河原分岐点⇒ 前掛山までの登山道

南南東  奥秩父(金峰山)の後方に富士山 北西  四阿山 後方に妙高山・火打山・焼山 西  黒斑山・蛇骨岳・仙人岳
南南西  八ヶ岳と南アルプス

 2011年9月18日(日)に、毎日新聞旅行の登山のツアーで、浅間山(前掛山)に登りました。登山ツアー参加者は40名でバスは満席でした。登山ツアーの参加者は常連さんが多かったようです。登山コースは浅間山荘登山口から前掛山の往復です。前日の9月17日(土)22時30分に新宿西口出発し、翌朝5時10分に浅間山荘登山口に到着しました。関越道・上信越道を走り、早く到着しすぎるので途中、佐久平PAで2時間の時間調整をしました。登りは浅間山荘登山口を5時50分に出発し、前掛山山頂に10時5分に到着したので4時間15分かかりました。下りは前掛山山頂を10時20分に出発し、火山館で昼食をとり、浅間山荘登山口に13時25分に戻ってきましたので、3時間5分を要しました。毎日新聞旅行のパンフレットでは歩程(実働時間)約6時間となっています。火山館がこのコースのほぼ中間点になっており、歩く時の目安になります。帰りは「あぐりの湯こもろ」に立ち寄り汗を流しました。帰りの高速では三連休の中日で渋滞にあい新宿には予定到着時間は17時30分〜18時30分となっていますが、20時過ぎになりました。
浅間山登山の全体的な印象は、特に難所もなく歩きやすい山でした。

登山ツアーの最大のメリットは交通の不便な登山口まで運んでもらえ、帰りも時間を気にすることなく下山でき、登山口には帰りのバスが待っていてくれることです。集団登山なので、みんなのペースに合わせて歩き、途中でゆっくり写真を撮っている時間はありません。休憩の回数は多いですが、時間が短くあわただしいのが特徴です。なお、浅間山登山ツアーは、噴火レベル「2」(火口周辺規制)になると前掛山登山から黒斑(くろふ)山登山に切替わるそうです。

登山口の天狗温泉浅間山荘 1408m
「浅間山荘」と言っても、有名な「浅間山荘事件」のあったところとはとは別です。

5時50出発
最初は蛇堀川沿いの林道を30分ほど歩きます。一ノ鳥居に着くと道は左右に分岐します。左の道は山沿いのルートです。
右側の道は谷沿いのルートで途中に不動の滝があります。両方の道は二の鳥居で合流します。
登りは山沿いの道を登り、帰りは谷沿いの道を下りました。
一の鳥居から二の鳥居間は、登り30分、下り20分かかりました。

二の鳥居からさらに一時間ほど登ると火山館です。
火山館の手前で姿をあらわした浅間山。
鉄分が多いので蛇堀川の水が赤くなっています。
天狗温泉浅間山荘も赤い鉄鉱泉です。
火山館
7時55分着 8時5分出発
登山者援護施設。ここには、水、トイレがあります。
火山爆発のときのシェルターにもなります。
牙山(きっぱやま)の岩峰

一般の登山者では登れそうもない岩山です。
トーミの頭

トーミの頭に高峰高原・車坂峠からの登山者が見えました。
「トーミ」とはどういう意味かとガイドさんに尋ねたら「くからよくえる」からとの回答がありました。
左がトーミの頭、右が黒斑山(くろふやま)。
森林帯を抜け出し、いよいよ火山のざらざらした火山礫(れき)の道を登ります。登山道は浅間山の左の方から巻いて登ります。
浅間山本体への登山はロープが張られており禁止されています。
しかし、中にはロープを越えて自己責任で登っている人もいます。
避難用シェルター
風化が進んでおり、大きな火の岩が飛んできたら耐えられそうにありませんでした。
前掛山への外輪山を登ります。
左が剣ガ峰、右が牙山(きっぱやま)
後方は千曲川の流れる小諸市
前掛山からの浅間山
10時5分着 10時20分出発(下り)

噴火レベルが「1」(平常)で火口から500メートル以内の立ち入りが規制されています。
浅間山からはかすかに白煙が見える程度でした。

なお、浅間山本体の様子は浅間山の空撮映像(2分47秒)を参考にしてください。
帰りに立ち寄った「あぐりの湯こもろ」(ナトリウム塩化物泉)の眺め

千曲川の段丘にあり、浅間山連山の眺めが良い。
左が黒斑山、右が浅間山。

コンサイス日本山名辞典 浅間山の項目から抜粋
長野県北佐久郡軽井沢町と群馬県嬬恋村との境。信越本線小諸駅の北東13km。三重式コニーデ型活火山。第一火口は黒斑(くろふ)山の東面に残り、黒斑山、剣ヶ峰・牙山(きっぱさん)などが第一外輪山となり、第二火口は西側が隆起して前掛山となっている。石尊山・小浅間山などの寄生火山をもつ。現在の火口は、直径450m。史上最初の噴火は686(天武14)年といわれ、平安時代にも噴火の記録があり、現在までに30数回の爆発を数えるといわれている。特に、1783(天明3)年の爆発は北麓の鎌原(かんばら)村ほとんど全滅させ、この時の溶岩流は、鬼押出しと呼ばれ、観光地の一つになっている。登山コースは、古くは沓掛口・追分口・御代田口・小諸口などの登路があり、親しまれてきたが、現在の代表的なコースは沓掛口(軽井沢口)の中軽井沢から、峰ノ茶屋を経るもの、小諸から浅間山荘・火山館・湯ノ平を経るものなどであり、3時間程度で登ることができる。
峰ノ茶屋のコースは、現在噴火レベルが「1」(平常)ですが、小浅間山までは登山可能で、小浅間山〜浅間山は登山禁止になっていています。


日本風景論   志賀重昴(しげたか)(1863−1927) 地理 学者、1894年(明治27年)に発表
信濃国北佐久郡より上野(こうずけ)国吾妻(あずま)郡にまたがるこの山はその噴火のことに強烈壮大をなるをもって古来ことに顕著なるも、またこれに登臨するの、はなはだ容易なるをもって知らる。上り四時間半、下り三時間弱に過ぎず。海抜二四八〇メートル。

登山するに二経路あり、一は信濃沓掛(くつかけ)より北行一里半にして小浅間山副火口の麓にいたり、これより西に向かい山頂に達す。一は追分より追分ヶ原を北行し、一里赤滝(浅間山南麓の「血の池」より流下する水の小瀑布をなすもの、高さ三間、水赭赤(しゃせき)色を帯ぶ、けだし鉄分を多量に含有する浮石の分解して成すもの)にいたり、経路ようやく険峻、二里余にして山頂に達す。現火口は直径三百メートル余、深さ測るべからず、四時(しじ 春夏秋冬)水蒸気、亜硫酸ガス、硫化水素ガスを噴出す、現火口の西北に二里の弓状岩壁あり、近きを前掛山、遠きを牙山(きっぱさん)という、共に旧火口環壁の残留するもの、すなわち牙山は最旧火口、前掛山は旧火口、現火口は新火口なり、山頂より眺望せんか、北にはことごとく上野北部の山岳(本白根山、四阿山)をみ、北東には榛名、赤城の連山をめぐるがごとく、太平洋を煙波杳渺(ようびょう)のうちに認め、南に甲斐全国の山岳来り、富士山その上に孤聳(こしょう)し、南西に八ヶ岳の円錐山頂を見、西に信濃飛騨の大山彙(さんい 山群)を見る。


1783年(天明三年)の浅間山の噴火と地球規模の寒冷化について記述された本 「夏が来なかった時代」