ベネチア

  水の都 ベネチアに到着!



フィレンツェからマイバスイタリー社のロングトランスファー(バス移動ツアー)を利用し、お昼過ぎにベネチアのローマ広場に到着しました。その広場で団体ツアーの日本人とは離れ、私たちはホテルに荷物を預けて早速散策を始めました。
7年ぶりのベネチア。複雑に入り組んだ道、水路にかかる橋など、ベネチア独特の光景は健在でした。

  ベネチア本島を歩いて散策

 
大運河に面した広い通り
 
おしゃれな街灯

 
たたずんでみたり…
 
のどかな時間が流れる大運河

 
 
一人旅のお姉さん

この写真はフィルムカメラで撮影
(デジカメとは色の出方が違いますね…)

ベネチアに到着した日はとても天気がよく、観光客も地元も人ものんびりと陽気なひとときを過ごしていました。
1人旅なのか、運河の船着き場に座り込んで何か考え事をしているような女性がいたり、地元のおじさんが1人で鼻歌を歌いながら体操をして歩いていったりと、みんな思い思いに過ごしていました。
そう、これこれ。ベネチアの良いところ。
ベネチア本島では、自動車やバイクなどは一切走っていません。その分、道を歩いていても車の騒音を気にする必要もなく、のんびりと淡々と時間を過ごすことができるのです。
私はベネチアのこの雰囲気が大好きです。

 
アーチ状の端
 
サンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会

 
小道を抜けると現れる広場
 
かわいらしい住宅

ベネチアでは、いくつもの小道が迷路のように入り組んでいるので、よっぽど方向感覚がないとすぐに「あれっ?どっちだっけ?」と迷ってしまいます。
一応、頭上に「○○広場→」「←××橋」と黄色い行き先案内板が着いているので、それに従えばたいてい目的地まで進めるのですが、あるところで必ず迷って立ち止まるところがありました。
何度も同じ場所で迷子になるのです。
ちゃんと頭上の矢印マークを見ながら道を進んだはずのに、突然矢印マークが途絶えてつじつまが合わなくなるのです。気が付くと他の国の旅行者も立ち止まって地図とにらめっこしていました。
まぁ急いでいるわけでもないので、まんまと迷子になるのもそれはそれで楽しいものでした。

  夕日スポット リアルト橋

大運河に架かるリアルト橋は、ベネチアのシンボルとして親しまれています。夕刻にリアルト橋に行ってみたところ、たくさんの観光客が橋に集まっていました。ここから夕日に染まる建物の様子を見るためです。みんなしきりに写真に収めていました。

 
リアルト橋から眺める運河
 
だんだん夕日に染まる建物

  サンマルコ広場 〜 高潮で広場が水につかることも… 〜

サンマルコ広場に建つ鐘楼
サンマルコ広場はベネチアの中心地として、多くの観光客が訪れる場所です。
この広場には左の写真の鐘楼を囲むようにして、ビザンチン建築として名高いサンマルコ寺院や白とピンクの大理石で造られたドゥカーレ宮殿、コの字型になっている新旧行政長官府が立ち並んでいます。
また、行政長官府の建物の一階には、お土産物屋や貴金属店、カフェなどがあり、つねに多くの観光客がいます。
カフェ中には老舗のカフェ・フローリアンがあり、私は以前学生時代に入ったことがあるのですが、著名人に愛されたカフェだけあって高貴な雰囲気で、自分には不似合いな場所だと感じた覚えがあります。
今回はきっと夫が興味ないだろうと思い入りませんでした。

右のサンマルコ広場の写真をよく見てみて下さい。暗くて見えにくいかもしれませんが、左手前にひっくりかえったテーブルのようなものがおいてあるのがわかるでしょうか。パイプが見えていると思いますが。
これは、実は広場が水に浸かった時広場を歩くための足場として使う台なのです。
もともと海抜1メートル未満のこの広場はベネチアでも一番低い所にあるため、高潮(アクア・アルタ)が起こると広場が冠水してしまうことが多いのだそうです。
特に冬場に良く起り、最近では年間100日ほど広場が冠水してしまうのだそうです。
私たちは冠水に遭わずラッキーだったのかもしれませんね。

 
サンマルコ寺院
 
色鮮やかなキリストの絵

 
ドゥカーレ宮殿
 
行政長官府

 
ゴンドラ停泊所
 
教会のシルエット

  ベネチア本島運河散策 〜 ヴァポレット(水上バス)1番に乗って 〜

自動車の走れないベネチアでは、ヴァポレットと呼ばれる水上バスに乗って移動をするのが一般的です。普通のバスと同じように、運河沿いに停留所が点在していて、主要な停留所だけに停まる急行から、1つ1つに停まる鈍行まで色々な路線があります。
今回、時間もたっぷりあるので、ローマ広場から1番のヴァポレットに乗ってぐるっとベネチア本島を巡り、そのまま少し離れたリド島まで行ってみることにしました。

 
ヴァポレット(水上バス)でゆっくり遊覧
 
漁船にはカモメがついて行きます

 
高潮の跡?壁面の下の方の
色が変わっています。
 

にぎわう朝市
午前中だったため、市が立っていました。
海に面しているベネチアでは海産物がとても豊富です。
市場の食材を見に行ってみたかったなぁ…。

 
リアルト橋をくぐりぬけ
 
どんどん進んでいきます

 
リアルト橋全景
 
誰だろう??
なぜか手を振ってくれてる

カ・フォスカリ(Ca' Foscari)宮殿(大学)
粋な心遣い!?

世界遺産に指定されたこの街では至る所で建物の修復作業が行われていました。
修復作業中は本来の建物の姿を見ることができないため、たまたまそのとき訪れてしまうと残念な思いをしますが、これも街の保全のためには仕方ないことです。
そんななか、このカ・フォスカリという建物も実は修復作業中なのですが、なかなか粋な心遣いをしてくれているのです。この写真でわかるでしょうか、工事中の建物を囲うシートに建物の本来の姿が描かれているのです。“せめて絵で建物の雰囲気を味わってってよ”という感じです。街の景観を損なわず大変いいですね。

 
独特の窓が並ぶ建物
 
金色でペイントされた建物

ベネチアの街は見ていてとても美しいのですが、いいことばかりでもありません。
7年前と違って気になったのは、護岸工事と落書きの多さです。
ベネチアは海抜がとても低いためにこのままでは水没する箇所が出てくるからだと思いますが、至る所で護岸工事を行っていました。中には工事中の箇所のせいでその先にある有名な教会まで到達できない箇所もあり、工事の音がうるさく情緒が台無しになりました。
ま、それは仕方ないことだと思いますが、一方で許せないのが、落書きです。どこの国も同じですね。日本でも鉄道の高架下の壁によくスプレーで訳のわからない落書きをする悪い輩がいますが、ここベネチアでも、いや、他のイタリア国内の都市でも、建物の壁に同様の落書きが多く見られました。
そんな落書きは7年前には無かったはず…。とても悲しい気持ちになりました。

  ベネチア本島からリド島へ

リド島からベネチア本島方面を臨む

ヴァポレット1番に乗って、ゆっくりとベネチア本島を巡った後、ヴァポレットはゆっくりベネチア本島を離れリド島に近づいて行きました。
リド島は、ベネチア本島の南東に位置する細長〜い自然の島です。ここはベネチア映画祭が開催される島なのですね。ベネチアは2回目ですが、今回初めて訪れてみることにしました。
ちなみに、各停のヴァポレット1番に乗ったため、ローマ広場からリド島まで実に1時間もかかってしまいました。寒かったぁ…。

 
リド島のヴァポレット(水上バス)の停留所
 
自然の島のリド島では車が走っています

島のメインストリート
ヴァポレット(水上バス)の停留所近くから続くメインストリートです。
道の両側には街路樹が植わっていてレストランや雑貨店などいろいろなお店も建ち並んでいました。ジェラート屋もありましたが、寒くてそんなもの食べている場合ではありませんでした。
通りを歩く観光客もそれほど多く居なかったために、観光客でごった返すベネチア本島での喧噪から離れることができて良かったです。

  アドリア海を臨むビーチ 〜 夏場は賑わうリゾート地 〜

島のメインストリートを東へ10分ちょっと歩いていくと、島の反対側に出ます。そこにはアドリア海を臨むビーチが南北に続いていました。私たちが訪れたこの時は秋だったので、オフシーズンのためにビーチにはほとんど人が居ませんでしたが、夏場は多くの海水浴客が訪れて大変賑わうととのことです。
ビーチの目の前に立つ宮殿のような高級リゾートホテル「ホテル・デ・バン」は映画「ベニスに死す」の舞台になったホテルです。ま、私たちには残念ながら縁がありませんが…。

 
人もまばらなビーチ
 
高級リゾートホテル
(ホテル・デ・バン/Hotel Des Bains)

夏場には大勢の人が訪れるリゾート地

 
とてもきれいな砂浜
 
静かなアドリア海

  人影もまばらなリド島東側の大通り

アドリア海に面したビーチで静かな波の音を満喫し、今度はベネチア映画祭会場を見るべく大通りを南下していきました。ベネチア本島とは違って広い車道のある道路を歩いていくと、道路に面してどこかの金持ちの別荘のような邸宅がたくさんありました。この時はオフシーズンのためこの道は全くと言っていいほど人通りがなく、車も時折通る程度ですが、きっとオンシーズンは別荘やリゾートホテルに遊びに来た人たちでこのあたりは賑わうのでしょうね。
てくてくと歩いていると面白い看板がありましたので載せておきます。

 
オフシーズンだけに閑散としています
 
劇的ビフォーアフター

  これがあのベネチア映画祭の会場か!

以前から、「ベネチア映画祭はどこで行われてるのだろう?」「あんな狭いベネチア(本島)のどこにそんな会場があるの?」と思っていたのですが、実は会場はリド島にあるのですね。今回初めてガイドブックでチェックしていて気が付きました。

で、これがベネチア映画祭の会場のようです。
映画祭の会場ということで、とても華やかなものを想像していたのですが、見ての通り味気ない建物です。少しガッカリしてしまいました。
 

  リド島でようやく会えた猫たち

「あっ、ネコ!」
にゃ、にゃに?
にゃに見てんだよ。

ベネチアにきて、しかも本島ではなくリド島で、ようやく猫に会えました。

北欧デンマークでは寒さのせいか全く猫を見られず、見たとしてもそれは剥製だったり。このまま猫を見ないまま旅が終わるんじゃないかと心配していたところようやく会えました。
やっぱり秋冬は猫も外に居られないのかな。
それともベネチア本島では観光客がいっぱいで落ち着かないから、外に出て来ないのかな?

  こんなところまで日本のキャラクターが進出か!

リド島を散歩していると、あるところで小学校帰りの一団に遭遇しました。ちょうど学校が終わった時刻に合わせて親たちが車や自転車などで迎えに来ていたようです。その中の一人の背負っているリュックサックを見ると、なんと「とっとこハム太郎」のイラストが!
「おぉ!ピカチュー、ドラゴンボールと来て、次はハム太郎かい!」
すごいですね、日本のアニメは。こっちの子供たちも「ハムタロー」という単語をイタリア語に交えて使っているのでしょうか。すごいな〜。

  ガラス工芸の島 ムラーノ島へ

以前にも訪れたことのあるムラーノ島は、ガラス工芸の島として古くから知られている島です。ベネチア本島の狭く込み入った空間と違い、この島は少しゆったりとした雰囲気なので、ガラス工芸品の店先をそぞろ歩くだけでもとても気持ちいいのです。

この島は建物が全体的に赤茶系の色をしているのが印象的でした。

このムラーノ島のお店で、記念にベネチアンガラスの一輪挿しを買いました。
数多くのガラス工芸のお店があり、美術品のようにとても高価な作品を扱っているお店もあれば、日本の夜店で売られているようなガラス細工を売る店もあります。中にはベネチア産で無いものも売っているそうなので、どうせならちゃんとベネチアの職人が作ったものを買う方が記念になりますよね。私たちが買った一輪挿しは、その店の店主のお父さんが作ったものでした。日本に持ち帰り今使っています。

リド島に引き続きこの島でも猫に逢うことができました。
ガラス工芸品を売る店のショーウィンドウ前の狭い空間にムリヤリ寝ている感じで片足がはみ出していました。前を観光客が行き来するのも気にせず熟睡する姿がかわいくて、みんな足を止めて見ていきます。
思わずシャッターを切る各国旅行者たち。
どこの国の人も猫が好きなんですね。
旅行者に囲まれてようやく起きたこの猫は、「ふぁぁぁぁ〜…」と大あくびをしたかと思うと、また寝に入ってしまいました。

ぐぅぅ…すぴー…。

  サン・マルコ広場の対岸 サン・ジョルジョ・マッジョーレ島へ

ヴァポレットに乗って、サン・マルコ広場の対岸に位置する小島、サン・ジョルジョ・マッジョーレ島に向かいました。ここにはサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会があって、ここの鐘楼からの眺めがとても良いので行ってみることにしたのです。

対岸のサン・ジョルジョ・マッジョーレ島から見たサンマルコ広場

サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会
サン・ジョルジョ・マッジョーレ島はサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会しか無いといってもいい小さな島です。
ここでの目的は鐘楼に上がってベネチアの街を上から眺めること。早速教会の中に入り、鐘楼に上がるエレベータに向かいました。
エレベータに乗る順番が来たので、乗ってみると中にはパンクロック系のいかついお兄ちゃんが立っていて一瞬ドキっとしました。なんちゅう格好してるの、兄ちゃん。ビョウ付き革ジャンのお兄ちゃんの正体は、実はエレベータボーイ。きっとアルバイトなのでしょうが、お兄ちゃんは自前のラジカセを持ち込み、パンクロック系の曲をかけながら体でリズムを取っていました。
エレベータ代(鐘楼入場料)はこのお兄ちゃんにお支払い。その後、上に到着するまで数十秒、激しい曲が流れる中、私たちともう一組の老夫婦は終始沈黙でした。
教会に不似合いなお兄ちゃんでしたが、きっと何往復も上がり下りするのだから、大好きな音楽でもないとやってられないんでしょうね。ご苦労様です。

 
教会の鐘楼から見下ろす景色
 
ベネチアを一望

このあたりで、お天気が怪しくなってきました。これまで晴天続きだったのですが、ご覧のようにすっかり曇天模様。翌日はヴェローナを経てミラノに向かいます。雨が降らなきゃいいな…。




さよなら、ベネチア!


次へ(イタリア/ヴェローナ)