テスラ モデルS P85



85kWh パフォーマンス
すでにこのグレードは消滅しデュアルモーターに移行しました…
平成26年式、1速(?)、後輪駆動、右ハンドル
パールホワイト



外観はまあ、今時のラインですね。
確かにカッコいいと思うが、
ジャガーかアストンかマセラティか
フォード・フュージョンのような…
アテンザにも似てるような気がする
無国籍デザイン
ハッチバックという意味では、アウディA7/S7/RS7
ポルシェ・パナメーラあたりが直接競合車種かな。
ルーフ後端がどうしても下がるため、
後席頭上空間はあまり広くない。




21インチグレータービンホイール
タイヤはミシュランパイロットスポーツ。
高価なオプションだが、カッコよさは格別♪
ただ、運転は気を遣いそう…
飛び出すドアハンドルのギミックは
なかなかキャッチーだ。
窓枠にもほぼ段差のない、
驚くほどのフラッシュサーフェイス。


 

最近多いドアミラー内臓ではなく、
フェンダー埋め込みのウインカー。
テスラマークでデザイン。
バニティーミラーは小さく、照明もなし
エアバックの注意書き、IKEAかよ?
って感じですね。
ちなみに、サバーバンは文字でぎっしりでした。
 



モデルS最大の特徴といえば、
17インチタッチスクリーン
ほぼすべての操作はこれで行う。
アップデートで機能が増える!
ただ、LTE化希望・・・
全面ガラス製パノラミックルーフ
偏光サングラスのように空がきれいに見える。
車内がぐんと明るくなり、
後席の頭上空間も増える。



 
きちんと3名分の座席のあるリアシート。
逆に、ひじ掛けやカップホルダーはない。
(オプションで置くタイプのものはある)
リア用エンタメシステムもない。
足元はとても広く、平ら。
後ろ向きシートも設置可能なほど広いトランク。
私は付けなかったので床下も収納スペースあり。
深さはそうでもないけど、クルマがでかいし
ハッチバックなので、下手なワゴンを凌ぐ容量。



 
そして、エンジンがないので
ボンネット下もトランクスペース。
しかし、もうちょっと閉めやすく
設計できなかった物かねえ…
オートクロージャー、前にも希望。
日本では標準のハイパワーウォールコネクター
シングルチャージャー仕様なので200V40A。
0からフル充電したとして、13時間かかるが
電気代は夜間なら約1,000円で済む計算。
条件次第だけど、最高で約500q走行可能。
つまり、ガソリン換算でリッター50q超!!
J1772とチャデモのアダプターは付属だけど、
普通コンセント用のモバイルコネクターは別売り。
    


テスラ・スーパーチャージャーなら
30分で半分以上充電、電気代はテスラ持ち。
充電ポートもとてもスマートなデザイン。

私がこのクルマを買った最大の理由は、電気自動車だからではない。
このクルマが、動力源に関係なく高い合理性を持っていると思うからである。
流麗なデザインのセダンで、広大な車内及び荷室。
加えて、高い運動性能、他に類を見ない先進性をも兼ね備えている。
排気、騒音、振動いずれも殆どまたは全くない、新たなプレミアム性。
「速さ」と「NVH」の低減が自動車の進化の指針であるのなら、
これは現時点での究極の1台と言っても過言ではない。
米国販売開始から2年以上、待ちに待ったなあ…

テスラという会社は自動車メーカーとしてはまだ新しく、小さい。
仕様はコロコロ変わるし、納期に関しても狼少年。
お蔭で(?)オートパイロット付きの車両で納車されたのはラッキーでした。
顧客の要望に対してどんどん変えていけるのは強みとも言えるが、
もうちょっと熟考してから発表すればいいのに…と思うこと多数。
信頼性はまだまだこれから。
紙のカタログはほとんどなく、注文もネット経由。
納車も業者代行だったし、合理的と言えばそうだけど、
日本のディーラーでも本国の情報を把握しきれていないのはやや問題あり。
また、一切広告をしていないので、日本での知名度はイマイチ。
雑誌などでも記事になることは少ない。

実際、車の出来は値段に見合っているかは微妙なところだ。
車格はEセグメントだと思うけど、大きさはフルサイズセダン。
ウッドデコールはオプションなのに、私にはあまり高級に見えない。
標準のピアノブラック内装にしといたほうがクールでいい感じと思う。
ボディの「チリ」は全然合ってないし、
サッシュレスのドアの開閉感は多少チープだ。
しかし、アメリカ本国では消費者満足度も高いようなので、
日本人とは気になるところが違うんでしょうな。
バッテリーを床下に敷き詰めることで車内スペース効率と超低重心を両立。
絶対重量は確かに重いので、峠を攻めるようなクルマではないが
重量物がセンターに集まり、前後重量バランスも良好。
結果、意外なほどハンドリングは良い。
加速力だけは欧州プレミアム車に比べ格安だと思う。
モーターの特性である、静止から極太の最大トルクを発揮させた発進と
ミッションもないので途切れない加速。しかも、ほぼ無音。
アクセルのレスポンスは感動もので、
どの速度からでもシフトダウンなしに最大加速できる瞬発力。
現在のところ、唯一無二の存在と言っても過言ではない。
これなら、内燃機関でなくても「私は」満足できる。
回生を効かせた「ほぼ1ペダル運転」は多少慣れがいるものの、慣れれば快適。
減速時にブレーキランプが点灯するんだけど、もうちょっと少なくていいかな。
もともと騒音源がなく静かなので問題ないが、遮音はイマイチ。
細かい音が気になるのと、高速でのタイヤノイズはやや大き目に感じる。
クルマが静かすぎてオーディオの音が車外に丸聞こえ。
アメリカ人好みのクルマと言えばそれまでだが、実際アメ車ですから…
要は、価値観をどこに置くかだ。

補助金はFCVだと約200万だそうだが、私の購入時は85万だった。
ロードスターの頃は300万だったのだが。
こんなクルマなのに、免税だけでなく補助金までもらえて、どうもすいません♪
確かに、例えモデルSレベルの航続距離であっても
日帰り強行スキーや、1日1000q走る人にはEVは向かない。
だが、日常のほとんどのケースではリーフ程度の航続距離でも充分足りる。
しかも、夜間に自宅充電すれば街中の充電器にすら無縁でいられる。
要は適材適所、得手不得手があるってことだ。
私が思うEVのメリットは構造がシンプルなこと。
モデルSでは、広大な荷室容量でそれを生かしている。
また、部品が少ないので故障の確率も当然低いだろう。
何しろ、エンジンはおろか、ミッションもマフラーも
ガソリンタンクもドライブシャフトもないのだから…

モデルSは、外観からはことさらEVであることを主張しない。
それどころか、ダミーのグリル風のデザインまで施されている。
ちなみに、金属の物理キーは存在しない。
しかし、なんで既存のEVやFCV系のクルマは超絶カッコ悪いんだろう?
デザインがイケてるのはBMWi8くらいじゃないかなあ。
カッコも良くないと誰も買わないよ…

逆に、内装は未来そのもの。
室内にほとんど物理ボタンがない。
パワーウインドとミラー調整、ハザード、グローブボックス開閉のみ。
他はドアのアンロックに至るまですべてタッチスクリーンで行う。
正直、アンロックと、内気循環切り替えはワンタッチで行いたいかな。
DVD等のディスクドライブはなく、地デジや動画の視聴はできない。
ナビは今のところグーグルマップなので、機能は専用機より落ちる。
しかし、このシンプルさはまさに革命的。
クルマに乗りこんだら、ブレーキ踏んでセレクターをDにすれば即発進。
スタートボタンやサイドブレーキもない。
従来のクルマがガラケーなら、モデルSは走るスマホかipadだ。
また、3Gだけどネット常時接続、通信費はテスラ持ち。
普通のPCと同じウェブの閲覧も動画以外は可能。
ネットラジオは意外と面白い。
アプリを使えばスマホから遠隔操作もできる。
さらに、ソフトウエアアップデートも行われ、機能が追加される。

このクルマを見て、私は「断捨離」をイメージした。
実はこのクルマ、驚くほど収納がないのだ。
グローブボックスとコンソールの巨大スペースの他、
モニター下の小物入れ、シートにカンガルーポケットはある。
しかし、ドアポケットもなく、シート裏収納もない。
ついでに言えばアシシストグリップ、バニティミラー照明、リアワイパーもない。
おそらく、テスラのデザインチームは
地図やら小物等でガチャガチャした見た目にしたくなかったのではないか?
そうして考えてみると、従来型の価値観に基づくものは基本不要だと分かる。
前車に積んでいた小物はほぼ、捨てました。
シンプルイズベスト
このクルマを貫くテーマだ。
無駄なラグジュアリーさとも無縁。
さっぱりした内装は、実は価格を抑えるためなのかもしれないが、
個人的には華美さは必要ないので、むしろこれでいい感じです。
「一番いいヤツくれ!」というタイプの人には向きません。
普通にレクサスやベンツの満艦飾全部入りのクルマをお求めください。

イーロン・マスク
この人物を抜きにこのクルマは語れない。
コンベンショナルな外観に、圧倒的加速力と未来的内装。
クルマ商売で重要なのは基本的コンセプトの確かさだと実感する部分だ。
彼の言うところの持続可能な社会インフラ作りは、所詮理想論かもしれない。
水素スタンドを大量に作るより現実的だと思うけど。
テスラ1社ではEVの時代は来ないという理由で特許を公開するなど、
理想論にとどまらず実行に移している、並みの人物ではない。
スペースXなど、彼の事業の今後に期待したい。

ま、いろいろ言ってみたところで、モデルSが
アーリーアダプター向けのニッチ商品であることは否定しようがない。
独特のポジションなので比較対象となるクルマも様々。
テスラのありかたなどに批判的な意見があることも重々承知。
新参者は常に保守層や既得権者に叩かれるものだ。
だが、欠点ばかりを攻めたてて相手を貶めることを考えるより、
良い点は認め合い、お互いを高めていくのが幸せになる秘訣であろう。
実際、モデルSは1000万円級のクルマとしては至らない点は多々ある。
でも、私にとってはそれに勝る魅力が大きい。
素直に、純粋に、前向きに生きて行きたいと思う。

いずれにしても私の中では、排気ガスと騒音をまき散らす
従来型のガソリン車は完全に過去のものとなった。
「エキゾーストノート」や、「カムに乗った加速」はない。
朝一番のアイドリンクで心躍ることもない。
しかし、それに代わる新たな価値観を創出し、実現して見せた。
まさに、フィーチャーフォンとiphoneの違いのように、
技術的ではなく、精神的ブレークスルーを果たしていると思う。
エコ一辺倒では魅力的な商品など生まれようはずもない。
確かに、現状では普及価格帯で説得力あるEVを作るのは難しいだろう。
将来、どの方式が生き残るかは神のみぞ知る。
BEVか、PHEVか、FCVか、通常エンジンの技術向上か…
「今」現在、私にとって最も魅力的なのがこのテスラ・モデルSだ。


                     2015年11月18日更新


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