「どんぐりと山猫」問題点の解答 2002.07.04 山戸朋盟


手紙の文面

問三十 何故一郎は、「出頭すべし」と書いてよいかと聞かれたとき、断ったのか。

 「出頭」とは、国民・住民が役所に呼ばれて出向くこと。裁判の被告や原告、あるいは犯人などが役所・警察・裁判所などに「出頭」することはあるが、裁判官が裁判をするために裁判所に行くのは「出頭」ではない。たぶん「出勤」「出廷」だろう。一郎は裁判長である山猫の顧問格だから、言わば同格、あるいは山猫より上位である。今後山猫に招かれて裁判に行くとしても、それは「出廷」ではあっても、「出頭」ではない。「出頭すべし」という言い方は、顧問を被告扱いする、間違った言葉遣いである。山猫は、別に悪気はないが、例によって、もったいぶった言葉を使いたいために、間違った言葉遣いを提案しているのだ。一郎はその点に気づいたが、相手を思いやって、「笑って、『さあ、何だか変ですね』」と言って、反対したのだ。

 なお、山猫が一郎より優位に立ちたくて「出頭」という言葉を使いたいと提案し、一郎はそれがいやだったので反対したという説があるが、もしそうなら、「一郎は、むっとして、『そんな手紙の文章は、やめて欲しいです』と言いました」などの叙述になるはずだ。また、山猫は表面も内面も一郎を尊重してこれからも頼りたいと思っており、一郎より優位に立とうと思っていると読み取る理由はない。猫だからといって、一郎をなめていた訳ではない。

問三十一 「出頭すべし」と書いてもよいと言ったら、手紙は来たのか。

問三十二 それ以後山猫からはがきが来なくなったのは何故か。

 ある生徒の意見。「サンタクロースも、小さい頃は来たが、いつの間にか来なくなった。それと同じではないか」その通りだろう。

主題

問三十三 この話全体を通して、対立する二つのものは何と何か。

 「一郎の思想」vs.「山猫、どんぐり、別当などの思想」

 「一番威張らない人が一番偉い」vs.「おれが一番偉い」

問三十四 この話で、作者は読者に何が言いたいのか。

 問十四・問十七、十八、十九・問二十九などを参照。

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