私が実家に戻ってきたのはいつのことだったか。 もうよく分からなくなってしまった。 母親が死んだあとで父親が死ぬ前だから、8年ぐらい前になるのかな。 実家に住み始めて、すぐにこの家はもうダメだと思った。 だってリビングの床がゆるゆるだったから。 20年ぐらい前に張り替えたはずなのにこの調子では、私の体重に長く耐えられるとは到底思えなかった。 それだけでなく、使っていない2階が荒れ果てているとか、雨どいが壊れているとか、横風が吹くと雨漏りするとか、問題は後に山ほど見つかることになる。 この家に5年10年住むのは無理だろうと当時は思った。 しかし、それでも家は簡単には壊れない。 木材って弾性があるから、意外とバキッとはいかないんだ。 少しぐらい雨漏りしたからといってすぐに柱や壁が腐るかといったら、そんなこともない。 この調子だとまだまだ住めるのかな、と私は思い始めていた。 そんなある日の朝、私はいつものように大便をすると、水の流れが悪いのに気付いた。 幸運なことに便は流れたが、そのあと紙を流そうとすると、水がいったん便器から溢れるギリギリまで登ってからゆっくり減っていく。 完全につまっているわけじゃなさそうだ。 ラバーカップでシュポシュポやってみても、つまりが抜ける感じは全くしない。 10回ぐらい水を流してみたが、全く改善する気配はなかった。 下水管の方に問題があるのかと思って玄関に出てみると、玄関に水が浮いていた。 まるで地面から浮き上がってきたかのように。 これは大変なことが起きている。 やはり水回りがネックだったか・・・。 いよいよこの家から撤退するときが来たかと思った。 しかし、まずは業者に調べてもらおうと思い直し、いつも使っているクラシアンに電話した。 折り返し担当者から電話があって、13時から15時の間に来るとのこと。 実際に彼はほぼ13時にやってきた。 そしてこの時から日が暮れるまでの間に、私はこの世のものとは思えない体験をすることになるのである。 この話は大変汚いので、耐えられなさそうな方は読み進めないで下さい。 つづく |