「この男の生き方が、あなたの《魂》を震わせる」と帯に書いてあった。 なんの帯かというと、『沈まぬ太陽』の、である。 帯によれば、国民的ベストセラーなんだそうだ。 これは最近映画化されたことや、舞台になっている日本航空が潰れそうなことでいま再び話題となっている作品である。 普段全く本を読まない私がこれを読み始めたのは、なんのことはない、私が銀行株を持っているからであった。 JALのOBに年金くれてやるために、銀行が持ってる債権を放棄させるのはやめて!! そんな思いで読み始めた。 まだ一巻しか読んでないけど。 何せ国民的ベストセラーだそうだから、今更私が何かを書くのも烏滸がましいのだが、ちょっと私の感覚と違うな、と思った。 何が違うのかというと、労働組合に対する見方が、である。 実は私は労働組合を余りよく思っていない。 それは私が今まで自分の目で見てきた経験からくるものでもある。 組合活動を一生懸命やってる方がこれから書くことを読んだら怒るかもしれない。 私の職場にも労働組合はある。 が、組織率は非常に低くなっている。 私が勤めはじめた頃でも40%程度だったが、団塊の世代が抜け始めている今ではもっと低下しているだろう。 今では活動らしい活動をしているところは見ることがなくなった。 しかし、私が勤めはじめた頃はまだ活動していた。 待遇改善やら、不当解雇の撤回を求めるビラなんかを配るのである。 私はこれが可笑しくてしょうがなかった。 だって、待遇改善を求めるほど待遇は悪くないし、大体おまえ等全然働いてないじゃないか、と思ったのである。 また、2年休職後に1日出勤し、また2年休職するような奴をなぜ守らなければならないのか? こいつら頭がおかしいのではないか、と私は思ったものである。 彼らのロジックからすれば、自分よりも質の悪い労働者を守ることによって、自分をより安全にする意味があるのかもしれないが。 挙げ句の果てに、広島の平和式典に組合員を派遣するとか言い出して、いったい何の組織なのかと問いたくなった。 あんな連中と私は一緒になりたくなかった。 だから、当然職員組合には入らなかったし、関わりを持ったこともない。 勧誘にはきたけど、もちろん追い返した。 労働組合に入っている連中なんてのは、極端な話、人間のクズだ!と私は思っていたぐらいである。 で、『沈まぬ太陽』の話。 この本の主人公は「空の安全を守るため」という旗印のもと労働者の待遇改善を求めて経営者と対立する。 私はもう、この時点であんまり主人公に同情できない。 やっぱり時代が違う。 日本が右肩上がりで、仕事が山ほどあって、単純労働者であっても自分に自信を持って働いていた時代と今は違うよな。 なんかもう、仕事がもらえるだけでありがたいっていう世の中でしょ、今は。 こんな時代に読んで魂が震えるんかいな、と私は不思議な気がしてしょうがない。 でも、そんなに古い本でもないんだよな、これ。 単行本が出版されたのが1999年だから、私はとっくに働いていた。 というか、このHPだって既にあったぐらいである。 単にJALの暴露本を読んでいるようにしか私は感じていないのだが・・・。 1970年あたりを経験してきた人たちが読むと魂が震えるのかな? <後日談 2010_02_19> やっと読み終わった。 あんまり面白くなくて、なかなか進まなかったな。 しかしまた、こんなに悪い人間ばっかり世の中おるんかいなと疑いたくなる話だった。 良い者側の登場人物にもあまり共感できなかったし。 事実をベースにしている割には、ちょっと好悪をもって書きすぎなんじゃないか。 フィクションだという建前だから良いのかもしれんが。 |