白髪を抜きたい! 私はとても抜きたいのである。 特別、若作りしたいわけではないのだが。 なんで抜きたいのか、自分でもよくわからない。 子供の時分、母親の白髪抜きでお小遣いをもらっていたからだろうか。 あれはいい小遣い稼ぎだった。 若い頃は白髪が少ないので報酬も少ないが、歳を取ると白髪が増えて報酬が増える。 あたかもロールプレイングゲームの経験値のように良くできたバランスであった。 私は白髪を抜くのが大好きなのである。 もちろん自分の白髪も。 しかし、白髪とはいえ、やはりそれは「髪」である。 全然無いよりはある方が良い。 ハゲよりはロマンスグレーがイイ! この辺がとても辛いところである。 頭のサイドとか後ろなら、ありすぎて困っているほどなので、どんどん抜いていきたい。 問題なのは、頭のてっぺんとか髪の分け目付近の白髪である。 この辺りは髪が薄く感じられて仕方がない。 お風呂に入った後に鏡なんかを見るとドキッとするね。 髪は下へ向かって垂れているので、当然といえば当然のことなのだが。 まだまだ大丈夫だと強がっていても、やはりこの辺りを抜くのは抵抗があるだ。 しかしながら、抜き難ければ抜き難いほど抜かねばならない。 美しさとはそういうものである。 サイドや後ろを抜くなら、てっぺんだろうが、分け目だろうが抜かねばならないのだ。 私は抜く! 激しく抜く! もっとも、抜いてみたら根元の方が黒かった時などはひどく寂しい。 自分から捨てた友人に帰ってきてくれとは言えないのである。 |