私は警察が嫌いではなかった。 風体が悪いせいか、東京にいるときはよく職務質問されたけど、特に腹を立てることもなかったな。 兄貴が速度超過で一発免停食らって愚痴ってたときも、警察が悪いとは思わなかった。 家庭持ちなんだから、スピードは控えてよって言ってたぐらいである。 ところで、先日生まれて初めて違反切符を切られた。 一時停止違反だった。 そんなんで捕まるとは思ってなかったな。 婦人警官に車を誘導されてるときも、交通整理かと思ったぐらいだ。 まあ、ピタッと止まっていなかったと言われれば、確かに止まっていなかったかもしれない。 私はもとより抵抗するつもりなどなかった。 警察に抵抗したところで、どうせ無駄だからね。 にもかかわらず、婦人警官達はくどくどと説明しようとする。 最後に違反を認めるサインを書かせなきゃいけないからなのかな? その交差点が如何に危ないか、自分たちの取り締まりが如何に正当なのか、をネチネチゆってくるんだよね。 聞いてるうちにだんだん腹が立ってきて、その時のことが頭から離れなくなった。 解放されてからもイライラして、逆にいつもより運転が乱暴になってしまったぐらいである。 帰ってきてからも、その時のことを考えていて、大変なことに気付いてしまった。 あの交差点で私が右に曲がっていたら、一体どうするつもりだったんだ?と。 私を捕まえたのは、一時停止線を確認する婦警さんと車を誘導する婦警さんの二人組みだった。 交通量が少なく、車を誘導するスペースのある左に曲がって、私は捕まったである。 誘導されたビル陰にはパトカーも隠してあった。 しかし右に曲がると、この辺で一番交通量の多い道路に接続する道があり、車を駐めるスペースもパトカーを隠す場所もない。 婦人警官は二人だけ。 あいつら、左に曲がったヤツだけ捕まえてたんじゃないの? そんなんズルいよ。 それに気付いたら、猛烈に警察が嫌いになった。 不公平感があると素直に反省する気になれないね。 こうやってみんな警察が嫌いになっていくのかな。 なんのかんのと理由をつけて、不公平感を探し出してるって側面もあるんだろうけど。 |