そのときは来る

そのときは来る 2005_10_28

 

どうやって過ごしていても、いつかそのときはやってくる。
この数週間で私はそのことを思わずにはいられなかった。

今から2週間ほど前のことになるのだが、とある面接試験を私は受けていた。
その面接試験を受けることは実に11ヶ月も前から決まっていたことで、その日が来るのは前からわかっていたのである。

まあ、だいぶ先だよな、と思いつつも少し準備をしながら時が経つのを私は待った。
なかなか時間は経たなかったな。
途中で勉強に飽きたりもした。

そうこうしていると、いつしか試験は一ヶ月後に迫っていた。
いよいよかと私は勉強に身を入れ始めたが、試験の3週間ほど前から緊張で眠れなくなった。
情けない話だが、寝ても3〜4時間ぐらいで起きてしまう。
眠ろうと布団に潜り込むのだが、目はギンギンに冴えるのである。

睡眠時間が少ないので、体がいつもキツくて、その状態で暗記モノの勉強をするのは酷く困難であった。
どうせちっとやそっと勉強したところで変わりはしない、とっとと試験日になってしまえ、と思った。

そうして、いよいよ試験日の当日、私の面接順は一番最後で3時間余り待たされることになった。
試験問題がばれないように同じグループの人間は缶詰にされるのである。
何もすることのない控え室で自分の順番を待つ。
出来ることは勉強だけなのだが、もう疲れてしまって勉強する気にもなれない。
私はゆっくりと流れていく時間に耐えた。

いよいよ私の番になって、控え室から出ると、もうレジュメを見ることも許されない。
面接室の前で、前の人が終わるのをただ待つ。
時間にして僅か3分ほどなのだが、その時間は尚更長く感じる。
私は天井を見上げながら、これもいずれ終わるさ、と妙な落ち着きの中にいた。
その30分後には試験は終わっていた。

試験が終わると2週間ほど先にちょっとしたプレゼンの仕事があった。
前からわかっていたことなのだが、まあ、面接試験が終わってから準備すればいいか、と思っていた。
気がつくと、いつの間にか前日になっていて、私は焦った。
どうやっても時間内に内容を説明することは出来ないと気付いたのだ。
仕方がないので、話す内容を暗記して、とにかく早口で喋りきることにした。
この仕事はただやることに意味があって、実のところ聴衆に内容を理解していただくことにあまり意味はなかったのである。

それなりに緊張して当日を迎えたわけだが、それもいつしか終わっていた。
それが昨日のことである。
私は今こうしてこれを書いている。
ぼーっと過ごしていても、緊張して過ごしていても、どうやっても時間は過ぎていく。
いつかそのときは来る。
これは避けられない。

おそらく、いつの間にかその瞬間も来ているだろうな。
その瞬間に気がつくことは出来ないかもしれないが。


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