「自分がこんなにだらしのない人間なのは親のせいだ。 子供の時にもっと厳しくしつけてくれていたら、もっと立派な人間になれたのに。 自分の頭が悪いのは親のせいだ。 どうして無理矢理にでも、子供の頃、塾へ行かせてくれなかっただろう。」 そんな風に、自分のダメさ加減を親のせいにしてみる事がある。 実際、私の親は非常に甘かった。 子供の頃、おねだりして買って貰えなかったものはない。(さすがに家計を圧迫するようなものをねだったことはないが) 中学生の時に、全部で50万するパソコンを買ってもらったこともあった。 塾に行きたくない、といえば、無理に通わされる事もなかった。 食べ物の好き嫌いを矯正されることもなかった。 その結果、こんなダメな人間が出来上がってしまった。 それはある意味、事実かもしれない。 ある日、母親が漏らした。 「ホント、昔は貧しくてねえ・・。 うちのお母さんは変わった人だったのよ。 子供が着替える服もなくて、同じ服を着ていると、なんにも言わずに洋裁の本と布を渡すのよ。 なにも言わないのよ。 自分が親になってみるとね、お母さん、ホント辛かっただろうなって思うの。 子供に何一つ買ってあげられないなんて・・・。 だから余計、子供がして欲しいと思うことは、何でもしてあげたいと思うのよ。」 私は一人暮らしをするようになって、自分で自分を教育してみようと思った。 そして、いくつかの失敗のあと、自分を許せるようになった。 自分が好きになった。 その間、私にお金と自由を与えてくれたのは、両親だった。 私は感謝しなければならない。 だが、まだそれを言葉には出来ないでいる。 |