言葉に出来ぬ感謝 '98_12_20

言葉に出来ぬ感謝 '98_12_20

            

「自分がこんなにだらしのない人間なのは親のせいだ。
 子供の時にもっと厳しくしつけてくれていたら、もっと立派な人間になれたのに。
 自分の頭が悪いのは親のせいだ。
 どうして無理矢理にでも、子供の頃、塾へ行かせてくれなかっただろう。」

そんな風に、自分のダメさ加減を親のせいにしてみる事がある。

実際、私の親は非常に甘かった。
子供の頃、おねだりして買って貰えなかったものはない。(さすがに家計を圧迫するようなものをねだったことはないが)
中学生の時に、全部で50万するパソコンを買ってもらったこともあった。
塾に行きたくない、といえば、無理に通わされる事もなかった。
食べ物の好き嫌いを矯正されることもなかった。

その結果、こんなダメな人間が出来上がってしまった。
それはある意味、事実かもしれない。

ある日、母親が漏らした。
「ホント、昔は貧しくてねえ・・。
 うちのお母さんは変わった人だったのよ。
 子供が着替える服もなくて、同じ服を着ていると、なんにも言わずに洋裁の本と布を渡すのよ。
 なにも言わないのよ。
 自分が親になってみるとね、お母さん、ホント辛かっただろうなって思うの。
 子供に何一つ買ってあげられないなんて・・・。
 だから余計、子供がして欲しいと思うことは、何でもしてあげたいと思うのよ。」

私は一人暮らしをするようになって、自分で自分を教育してみようと思った。
そして、いくつかの失敗のあと、自分を許せるようになった。
自分が好きになった。
その間、私にお金と自由を与えてくれたのは、両親だった。

私は感謝しなければならない。
だが、まだそれを言葉には出来ないでいる。
 


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