壁掛け時計の秒針がうるさかった。 1秒ごとに秒針が動くタイプの時計だったのである。 普段生活しているときはもちろん聞こえないのだが、いざ寝ようと思うと気になって仕方ない。 秒針が連続的に動く静かな時計はないものかと探してみると、果たしてそれはあった。 連続秒針(スイープセコンド)とかいうらしく、特別なものではないようだ。 というか、アマゾンに980円で売っていた。 デフレも大概にしろよと思うのが、買う方としてはありがたい。 私は早速注文した。 使ってみると、なるほど静かだ。 真夜中でも全く音がしない。 しかし、それよりも驚いたことがある。 連続的に動く秒針をじっと見ていると時間が早く進むような気がするのだ。 えっ、こんなに早く時間って進むの?って驚いた。 これは私の感覚の話だから、気がするとしかいいようがないのだが。 連続秒針だと早く時間が進むような気がする、ことに理屈が付けられるかどうかを私は考えていた。 そのためには、理屈の付けられる話から類推してみた方が良いかもしれない。 しばしば年配の方は、歳を取ると時間の経つのが早い、若いときと時間の流れ方が違う、などと嘆く。 これに理屈を付けることは可能だ。 歳を取ると脳みその活性度が落ちるので、若いときと同じ仕事をやっていれば、時間を感得するための脳の余剰能力が無くなってくるはず。 物理的には絶対的な時間があるにせよ、人がそれを感じるのは脳の働きだからな。 夢中になって何かをやっていると、あっという間に時間が過ぎていく、という経験ともこれは一致するはずである、脳に余剰能力がないという意味において。 この考え方を連続秒針に当てはめると、こう考えられるのではないか。 1秒ずつ進む針は動いているときはほとんど見えないから、脳みそには1秒おきにしか新しい情報が与えられない。 それに引きかえ、連続秒針の場合はずっと新しい映像が脳に送られている。 つまり脳が処理しなければならない情報量が多いことになる。 そうすると、脳の余剰能力が減るから時間が早く経つような気がするのだ。 こう考えれば筋が通るのではないか。 まあ、実際のところはどうなのか知らないけど。 せっかく時間が早く進むように感じられるのだから、利用方法を考えてみた。 我が家のADSLは電子レンジを使うと接続が切れることが多くて、冷凍チャーハンを温めているときなどはネットで時間を潰すことが出来ない。 2分30秒とかになると、ただ待つにはちょっと長いのだが。 かといって、電子レンジからあんまり離れすぎるのも不安だ。 そんなとき、この連続秒針をじっと見つめると時間が早く経ってくれて、とても重宝している。 つまらないことに脳みそを使って損しているのかもしれないけど。 <余談> 連続秒針って時を刻んではいないよな、連続なんだから、とか書いていて我ながら思った。 |