更衣室の偽アスリート

更衣室の偽アスリート 2013_02_20

 

よく通る道から見える場所に、銭湯らしき看板があることには前から気づいていた。
それも大きな看板。
大きな駐車場もあるし、おそらく「スーパー銭湯」と呼ばれるものだろう、と想像はつく。
そのうち行こうと思ってはいた。
最近になってようやく行ってみたところ、「スーパー」と呼ぶにはやや規模が小さいが、田舎ならこんなもんだろうという程度の銭湯であった。
それでも銭湯は気持ちいい。
特にサウナがあるのはいいな。
やみつきになって、このところ週二で通っていた。

風呂からあがって更衣室で着替えていると、あることに気づく。
みんな息が荒く、大きく息をつく人もいる。
やたらと苦しそうなのである。
なぜならみんなサウナに入るから。
折角だからということもあってか、ほとんどみんな入るんだよね。
で、苦しむ。
そんなに苦しいなら入らなきゃいいのに。

それでも入るからには何か理由があるんだろう。
そういえば、この景色はどこかで見たことがある。
部活が終わった後の部室に似てなくもないか、この疲労した感じ。
そう考えれば、サウナに入ることの意味も理解できる。

サウナって別に運動しているわけじゃない。
ただ座っているだけ。
体温が上がるから、基礎代謝は多少活性化するだろうが、運動エネルギーは消費していない。
しかし、大量に汗はかくし、暑くて苦しい。
すると擬似的にハードな運動したかのような気分にはなるよな。
みんな偽アスリートなんだよ、更衣室の連中は。
運動することは健康良い、という価値観が定着しているとすれば、これはメリットと受け止めてイイだろう。
要するに得しているわけだ。
暑さに耐えることを負荷だと考えれば、テレビゲームと同じ考え方が適用できるんじゃないか。

道理で私もサウナに入りたくなるわけだよ。
そういえば、サウナに入った日は、もうテレビ見ながらスクワットしなくてもイイかって気になってるよ、実際。


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