血はダメだな。 男はダメだ。 見慣れてないからかな。 切れ痔なんかになろうもんなら、もうこ世の終わりかと思うもの。 歳を取ると、更に直りが悪いからダメだ。 若いときは切れても次回には直っていたものが、いつまで経っても直らなくなる。 一回切れるとずーっと長い間、排便の度に憂鬱な気分になるものである。 私も一時期、非常に苦しかった。 トイレットペーパーが赤く染まるのは、誠に避けたい事態である。 だからというわけではないが、普段私は自分の排便は見ない。 すぐ流してしまう。 更に拭いた紙も見ない。 確認はウォシュレットした後にするのである。 たとえ少々切れていたとしても、まあ、気付いていないかもしれないな。 本来気付くべき異変に気付かない可能性もあるわけだが、これはもう致し方ないのだ。 ある日職場のトイレで、ウォシュレットした後の紙だけが残った便器を覗くと、紙がほんのりと赤かった。 ドッキーン!! 「や、やばい。 尻が切れている感触はなかったし、もしかして血便か? うっそー!? 内視鏡検査とかしなあかんの? あんなの入れるのイヤやわー。 病院行きたくなーい! でも、大腸ガンとかだったら死んじゃう!!」 などという具合に、私は大変悩ましい数日を過ごさなければならなかったのである。 これは参った。 しかし、私は気付いたのである。 ほんのりと赤いのは血じゃない。 トイレットペーパーの漂白度が落ちていて、水に濡れると赤っぽくなるのだ。 経費削減の所為で、トイレットペーパーの品質を下げられていたのである。 私はホッと胸をなで下ろした。 そういえば、以前のトイレットペーパーは一個一個紙で包装されていたが、今の紙はむき出しだ。 ビックリさせるなよ。 まさかこんな所にまで、世相が表れているとは・・・。 トイレットペーパーは純白に限ると思った。 漂白コストがかかるなら、せめて色が付いても、赤以外にして欲しいものである。 |