種の繁栄

種の繁栄 2008_02_25

 

「あーぅ、あーぅ」という呻き声が聞こえてくる。
気分的には「あ」に濁点を打ちたくなるような呻き声が、先週末から昼となく夜となく、断続的に聞こえてくるのである。
30分〜1時間おきに一回あたり15秒程度。
最初は隣の女子大生が男でも連れ込んでいるのかと思ったが、さすがにこれはおかしい。
聞こえてくる方角も毎回異なっている。
これは猫の交尾ではないか。
現場は確認できていないが、季節的には発情し始める頃合いらしい。
そういえば、この週末は春一番が吹き荒れていた。

あの呻き声が雌猫のものだとすれば、どう聞いても気持ちよさそうには思えない。
痛いのであろう。
猫のペニスにはトゲがある。
どの猫にでもあるのかどうかは知らないが、私が以前見たやつは非常に鋭利であった。
人間が入れる真珠なんかとはワケが違う。
あれを入れられたら、そりゃタマランだろう。
大変お気の毒な話である。
この週末、私は睡眠を妨げられたが、あまりに気の毒で腹も立たなかった。

なぜあんなに鋭利なトゲが付いているのか、その点は私にはよく分からない。
一説によれば、痛みによって排卵を促すためなんだそうだが、何もあれほど鋭利なトゲにしなくても良かろうと思うのだが・・・。
適者生存の法則からすれば、愛玩動物になる前の猫にはそうなる必然性があったのだろう。

ところで、このことは非常に興味深い示唆だと思うのである、私は。
このことというのは、交尾のとき雌が痛いことを指している。
つまり雌猫は交尾が痛いのに種は繁栄するのだ。
入れる方が気持ちよければ、入れられる方は気持ちよくなくても種は繁栄する。
現に猫はどんどん増殖しているのである。

これはおそらく人間でも同じ事なのではないか。
人間の雄は大抵射精が気持ちいいものである。
雄さえ気持ちよければいいのだ。
入れる方が、つまり男性が気持ちよければ、入れられる方が気持ちいいかどうかは種の繁栄には関係ないのである。
幸いなことに人間のペニスにはトゲが付いていないけれども、この事実は変わらないのではないか。
女性はお気の毒なことである。

全くもって男に生まれついてよかった。
私は痛いのはイヤ。
絶対にイヤ。


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