趣のない切手

趣のない切手 2006_07_21

 

切手収集という趣味がある。
私も子供の頃、一時期切手収集にハマって、よく親にデパートの切手売り場に連れて行ってもらったものだ。
切手収集の世界では、記念切手の売買相場とデザインの一覧が載ってるカタログが販売されていて、私にもそれをやたらと眺めていた時期があった。
一昔前は多くの人が切手収集に一度はハマったものである。

しかし、この切手収集という趣味はそのうち消滅するかもしれない。
なぜならば、切手は今のような形では存続できないだろうと予想するからである。
切手はもっと大きくて趣のないデザインになるだろう。
私はクロネコヤマトのメール便を使うなかでそう予感した。

ちょいと送らなければならない小さな荷物があったのだが、さほど重要なものじゃないので、到着を確認する必要はなかった。
送る手段としては、普通郵便とメール便がある。
さて、どっちを使うか、と考えてみた。

すると、何となくメール便は不安な気がした。
だって、メール便の配達員に信頼おけないでしょ。
受け取り記録取らない荷物は捨てちゃいそう。
近頃の宅急便のあんちゃんはただ体力があればいいというものではなく、それぞれがセールスマンの役割も担っているので、昔ほど労働力の質としては悪くないらしい。
が、やっぱり失うモノの大きさが違う。
郵便局の職員だったら、滅多なことはしないはず。
郵便局員の安定的な地位というのは捨てがたいものがあるのだ。

まあ、しかし、ものは試しなので、メール便を一回使ってみることにした。
郵便局で送ると240円取られる荷物がメール便なら160円で送れるので、メール便が信用できるなら、今後もメール便を使ってみたいのである。

使ってみて驚いたのだが、メール便は意外と安全だ。
個々の荷物に通し番号が付いている。
最低金額80円の荷物を追跡することが出来るのだ。
クロネコヤマトのシステム、スゲー!
宅急便と違って受け取りの確認は出来ないが、どこの集配所まで到達したかは判る。
だから、もし荷物が無くなれば、どこの段階で無くなったのかがわかるのだ。
もし配達をサボる常習犯がいれば、すぐにばれるだろう。
一個や二個ならわからないかもしれないが、常習犯なら同じ地域で行方不明の荷物が大量に出ていることが判明する。

これは労働力の質(条件の良い労働場所に良質の労働力が集まる、と仮定しての話だけど)をシステムで補っているんだな。
もともとあった宅急便の配送システムに載っけただけで、さほど大した事をしたわけではないかもしれないが。

メール便が安いは早いは安全だは、ということになれば、郵便局の普通郵便を使う人はどんどん減っていくだろうな。
普通郵便の配達量が減れば、配達コストが上昇して、いずれ配達員の待遇も今のままではいられまい。
待遇が悪くなれば、労働者の質が落ちる。
労働者の質が落ちれば、信頼感も落ちる。
最終的には、郵便局もメール便と同じ事をしなければならないだろう。
つまり、切手に通し番号を付けることになるのだ。(今でも窓口では切手使ってないけど)

10数ケタの番号を書かなければならないから、きっと切手は大きくなる。
番号じゃなくて、バーコードやお財布携帯の暗号みたいなヤツ(名前知らない)になるかもしれないな。
さらに、印刷代がかさむから、今みたいに綺麗な切手は印刷できないだろう。
いかにも趣のない切手になる。
切手収集家達はガッカリするに違いない。
いきなりICタグになっちゃうかもしれないが。


戻る