捨てる喜び

捨てる喜び 2005_06_14

 

そろそろ本格的に引っ越しの準備に取りかからなければならない。
そうすると、驚くべきことに気がつく。
物が多い!
多すぎる!

さすがに9年も住んでいると、驚くほど物が貯まってしまうのである。
それも大体ゲームとか、生活必需品じゃない物ばかり。
もっと豊かに生きるために買わなければならない物はいっぱいあるはずだと我ながら思った。
一方で、運べる物は引っ越し先に運び込んじゃおうかな、とも思っていたのである。

ところが、実際引っ越し物件を決めてみるとそうも行かなくなった。
広い汚い部屋と狭い小ぎれいな部屋を比較してみたら、最終的に狭い小ぎれいな部屋が勝った。
引っ越し先は今よりほんの少しだけ広いけど、押し入れが小さくて余り物を入れられそうにないのである。
やはり捨てられる物は捨てていかねばならないようだ。

私は思いきって昔録画したビデオテープを全部袋に詰めて、排出する準備をしてみた。
もう面倒なので、録画してある内容はチェックしなかった。
するとこれが気持ちいい。
なんだろう、この気持ちよさ。

この気持ちよさを確かめてみたくて、PCーFXを袋詰めしてみる。
PCーFXというのはSS・PSの時代にNECが発売したゲームマシンである。
コレクター精神みたいな物で買ったのだが、ほとんど使わなかった。
袋詰めして玄関まで持って行くと、これがすごく気持ちいい。
調子にのってどんどん物を捨てていくと、やはりまた気持ちよかった。

この気持ちよさの理由を私は考えていた。
物を捨てることが何故気持ちいいのだろうか。

私なりの見解を書くとするならば、それは執着を捨てるということなんじゃないか。
物、ではなく、それに付随する執着を捨てる。
どうせ見もしないビデオに対して持つ、後で見たくなるかもしれない、という思いを捨てる。
どうせ使わないゲーム機に対して、後で使うかもしれない、という思いを捨てる。
そうすると、すごく自分が軽くなるんだな。
物を捨てるってのは自分を縛り付ける鎖を切っていくようなものなんじゃないか。
それを気持ちいいと感じているのだろう、というのが私の考えである。

この勢いをかってもっと色んな物を捨ててみたい。
ワクワクするよ。
もしかすると、出家とかも気持ちいいのかもしれないな。
そこまではとても出来ないが。


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