欠陥のないことが欠陥

欠陥のないことが欠陥 2008_09_24

 

よく、近頃テレビが面白くない、という話を耳にする。
私はそういった物言いを否定していた。
自分が面白く感じなくなったからといって、テレビが面白くないと断じきることがどうして出来ようか。
単に制作者が狙っている層から外れてしまっているだけだ、と思っている。
ところが困ったことに、私も近頃テレビが面白く感じられないのである。
ゴールデンタイムのクイズバラエティ群はなんとかならんものか。
勘弁して欲しい。

そこで私はこの3ヶ月ほど、レンタルDVDでアメリカのドラマを見ていた。
相変わらず世間のブームからはずいぶん遅れているようだが。
ブームの火付け役となった『24』は、私は駄目だな。
連続ものは集中して観ないと話が分からなくなるから、一話完結型がイイ。
大抵ネットをちらちら見ながら観てるからね。
私がいま填っているのは「CSI」シリーズ。
科学捜査で事件を解決していく、一話完結型の刑事ドラマである。

まあ、ドラマの内容はどうでもいい。
私が書きたいのはキャラクターの話である。
『CSI』には本家のラスベガス編の他にマイアミ編もある。(ニューヨーク編もある)
ラスベガス編に登場するキャラは一人を除いてみんな人間に欠陥がある。
一人だけ欠陥がないキャラがいるのだが、彼だけ私が観た5シーズン分の中で2回酷い目に遭っている。
他のキャラは酷い目に遭っていない。
マイアミ編のキャラには欠陥がないけど、その代わり身内に駄目なのがいて、足を引っ張られる。
ただし、マイアミ編にも一人だけ人間的欠陥もなければ、駄目な身内もいないというキャラがいた。
やはり彼も酷い目に会うのである。

なぜ一番まともな人間が一番酷い目に遭うのか?
あんまりじゃないか!と憤ってみたいところなのだが、よくよく考えるとこれはごく普通のことのようであった。
物語を創る側からすると、何か欠陥がないと話が創れない。
最初にキャラクタを設定する段階では、バランス上「イイ奴」を混ぜておくんだろうけど、イイ奴は全然物語を脹らませていかないよな。
欠陥のないことが最大の欠陥なのである。
マイアミの欠陥無し男くんはもう酷い目に遭うことはあり得ないのだけど、ラスベガスのナイスガイはきっとまた酷い目に遭うだろう。
ドラマの中の話だからどうでもいいんだけど、大変気の毒な話である。


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