ご近所に筒抜け

ご近所に筒抜け 2009_10_21

 

私は東京が大好きである。
何がイイって、ご近所付き合いがないのがイイ。
周りのこと全然知らないモン、私。
当然、周りの人も私のことを知らないはず・・・・、と思っていた。
ところがドッコイ。
じつは東京にだって話し好きな人はいて、我々の動きは全部筒抜けなのである。

隣に住んでいた女性の犬が五月蠅くて、ここ一年ほど私は安眠を妨げられていた。
大家さんにも3回ほど苦情を言ったほどである。
隣の大家さんと私の大家さんは親戚なのだ。
どうやら苦情が来ていたのは私からだけじゃなく、他からもたくさん来ていたようで、先日ついに半ば追い出されるように彼女は出て行った。
私はその顛末を30mほど離れた行きつけのカレー屋のおばちゃんに聞いたのである。

このおばちゃんはご近所のことを何でも知っているのだ。
五月蠅かった女性の上の階に引っ越してきた家族の父親が非常に乱暴な男で、子供に怒鳴り散らしているのが窓から聞こえてくるのだが、そのこともおばちゃんは知っていた。
向かいの借家から出て行った家族が大家さん(私の大家と同じ人)と修理費でもめて裁判所で係争中なんてことも。
あのおばちゃんはご近所で起きていることを全て知っているのである。

私がカレーを食べている間におばちゃんはご近所の話をいろいろ教えてくれるのだが、果たして私だけに教えてくれているのだろうか?
いや、そんなことはあるまい。
他の人にも話しているに違いないだろう。

そういえば、母がガンで亡くなった話とかもおばちゃんにしたな、私。
親父が寝たきりで施設に入っている、とかも話した。
ああいう話、ご近所に筒抜けなんじゃないか?
いや、まず間違いだろうな。
絶対話してる。
おばちゃんが話している姿がありありと思い浮かぶよ。

周りに行動が筒抜けだと思うと、変なことは出来ない。
大きな音でアダルトビデオなんか見てると、噂があっという間に広がるかもしれないからな。
まったく心の休まらないことである。

結局、東京にいても人間からはなかなか逃げられないな。
人のいないところに行かないと。
マジで人里離れた山奥で暮らしたいと思うよ。


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