野生との戦い <中編>

野生との戦い <中編> 2020_12_24



今年は鳥との戦いを想定していた。
毎年冬になると、庭に生えている山茶花に鳥が寄ってくるのだ。
最初は風情があっていいと思っていたのが、最近は糞害の方が気になっていたのである。
しかし、その前に思いもしない伏兵が待っていた。
今年は例年並みに寒くなると予想されていたが、まだ全然寒くなかった11月初旬のことだった、あれは。

郵便受けから郵便物を取り出しているときに異臭を感じた。
なんかうんこ臭いのだ。
周りを見渡してみると、塀と建屋との60センチほどの隙間に猫の糞らしきものがあった。
かなわんな、と思ったが、仕方がないので始末した。
前にもあったことので、この時はそれほど気にしていなかった。

ところが、である。
翌日こわごわ同じ場所を確認してみると、なんとまた糞があったのである。
これにはビックリした。
翌日にまたやられるとは。
しかも、1個じゃないの。
3個も!
どういうことなんだ!
グループで行動しているのか、それともナワバリをアピールするために頑張って3回出したのか。

これはメチャクチャショックだった。
私は糞を片付けるだけでなく、土を削って更に消毒液をまいた。
臭いを消さないとまたナワバリをアピールしに来そうだから。
更に庭から小石を拾ってきてばら蒔いた。
居心地を悪くしてやろうと思って。
それだけじゃまだ安心できない。
私はその足でドラッグストアへと駆け込み、猫避けを買った。
刺激臭で猫を近づけないようにするヤツ。
そして大量に蒔いてやった
しかし、これが間違いだったである。

買ったのは「猫専用のみはり番」という商品だったのだが、これが尋常じゃなく臭いの。
ちょうど床下の通気口がある場所なので、風向きによっては家の中まで臭くなってしまう。
猫じゃなくて人間の方が弱っちゃうよ。
アマゾンで調べたら、効かない上に臭いと極めて悪評の多い商品だった。
でも、アマゾンで調べる余裕がないほどショックだったんだ、あの三つはさ。

もう蒔いてしまったものは仕方がない。
臭いはいずれ弱くなっていくはず。
ずっとこれを続けることは出来ないので、やはり猫避け装置を設置するしかなかろう。
私はまたアマゾンを検索することになった。

調べてみると、やはり同じような商品が一杯あった。
機能としては、光と可聴音と超音波を出すのは大体同じ。
しかし、ネズミ向けと違うのは、他の動物にも使える汎用品である、ということと、商品の種類が少ない事だった。
商品が一杯あるのに種類が少ない、とはどういうことなのかというと、どう見ても同じ商品なのに、発売元も違えば値段も微妙に違うものが複数あったのである。
これは選ぶのが難しかった。
商品の良し悪しというより、個体の当たり外れの方が問題になりそうな印象だったな。
これもエイヤで注文するしかなかった。

買ってから一つ問題があることに気付いた。
ソーラー電池付きで、一回充電した後は放っておけるはずだったのだが、塀の裏側なので光が当たらない。
仕方がないので、多少でも光が当たるようにと高い位置から下に傾けて設置した。
その結果、玄関を人が通ると反応してしまい、宅急便の配達員なんか驚いてしまう。
それだけなら良いのだが、近所の子供がそれに気付いて、反応させて遊んでいるらしかった。
敷地のちょい外でも反応してしまうので怒るわけにもいかない。
まあ、動作しないよりは良いだろう。

これ以後、猫の糞は確認されていない。
臭いが効いているのか、猫避け装置が効いているのか、実際のところは分からない。
しかも、ちょうど設置した頃に気温が急に下がったこともあって、猫が散歩できるような状況ではなくなったのかもしれないのである。
この戦いの結末はまだ分からない。
ナワバリを主張していったと思われる猫が冬を越せるのかどうか、も。


戻る