似てなくてバンザイ

似てなくてバンザイ 2002_07_07

 

私は物真似がヘタである。
とてつもなくヘタである。
ローカルネタなのに、誰のマネなのかさっぱり判らないほど似ていない。
これはもう才能がないとしか言いようがないだろう。
私はこの事を自分で認めている。

かつては「モノマネの上手い奴が羨ましいぜ!」と思うことがあったことを、私は告白しなければならない。
モノマネはいろんな瞬間に笑いが取れるのである。
あんな便利なモノもない。
私だって笑いが取りたいのだ。

しかし、よくよく考えてみると、モノマネという奴は大変タチが悪い。
なにせ人から特徴的な部分を抽出して、それをディフォルメするのだ。
笑いを取る場合は、大抵「ちょっとそれ変じゃないの?」と思う部分を抽出する。
つまり人の欠点を見抜き、それを臆することなくディフォルメすることがモノマネには要求されるのである。
言うなれば、その人をバカにしているのと同じだ。

私にはそんな酷いことは出来ない。
どんなに上手にマネをしようと思っても、ごく自然とブレーキがかかってしまうのだ。
だから私のモノマネはヘタなのである。
ええ、そうですとも。

それが証拠に、マネのマネなら幾らかは出来る。
あくまでマネをしている人をマネているだけだから、マネ元に対して罪悪感はあまり感じない。

更に言うならば、「私のモノマネは似てないんだ!」という認識から出発しているので、私のモノマネはそもそもモノマネですらない。
似てないと判っていてやっているんだから。
モノマネでない以上、誰も傷つけるはずはないのだ。
本当に似てなくて良かったなあ、と私は心の底から思う。

「モノマネ似てなくてバンザイ!」

ひょっとすると、「自分はなんてモノマネがヘタなんだろう・・・」とお悩みの皆さんもいらっしゃるかもしれない。
しかし、そんなことで悩む必要はないのである。
モノマネ似てなくて結構!
ビバ!モノマネ下手!
私は、全世界に推定50億人はいるであろうモノマネ下手な皆さんと、手に手を取ってこの喜びを分かちあいたいのである。


<加筆 2002_07_09>


戻る