実家に住んでいると、思いがけず使えるモノが見つかることがある。 本棚から切手が出てきたり、押し入れから10Kgもの洗剤が出てきたり、戸棚から250m分の業務用サランラップもどきが出てきたりするのだ。 それらは親からの贈り物だと思ってありがたく使わせて貰っている。 しかし、両親が死んで5年も経つと、さすがにそろそろ何も出てこなくなった。 貰えるモノはすべて貰ったかと私は思っていた。 そんな折、最後に大きなプレゼントが届いた。 30年前に両親が私に掛けた生命保険が、満期になって戻ってきたのである。 それは、120万払い込むと30年後に400万になって戻ってくる保険だった。 30年前は公定歩合が4%ぐらいだったから、保険会社もまさかゼロ金利が20年も続くとは思ってなかったのだろう。 これは大もうけだ。 税法上は贈与になるらしくて、贈与税を払わなきゃならないが。 満期を複数年に分散させてくれていたらよかったのに・・、と思わないでもないが、さすがにそこまでは酷な話か。 30年前は非課税枠がもっと小さかったしな。 30年後のことまで心配してくれて、ホントに親ほど有り難いものはないよ。 更に、である。 この保険を調べたら、すごいことが分かった。 私の保険証書が入っていたホルダーには兄の分も入っていたのだが、保険の内容が違うのである。 私に掛けられた保険は30年満期なのに、同額を掛けた兄の保険は終身なのだ。 終身ってことは、受取人には家族を想定していたのだろう。 つまり、兄はいずれ家庭を持つだろうが、私は家庭を持たないだろうと30年前に予想してたんだ、うちの親は。 さすがだね。 そこまで読まれているとは。 脱帽するよ。 親の愛に抱かれて、私はいまも生きています。 しかし、いよいよそれも終わりだ。 本当に正真正銘、貰えるモノは貰い尽くした。 当たり前の話だが、これからはひとりで生きていかねばならない。 それでも、振り返れば暖かな過去があるだけマシなんだろうな。 |