松井秀喜

君はヒーローを目指すのか 2000_07_15

 

日本に現存するヒーローは、長嶋茂雄ただ一人である。
しかしながら、彼も既に過去の人であり、私達は本当のヒーローを持たなくなって久しい。

そんな中で、一人だけヒーローになる資格を持った男を見つけた。
その男の名は松井秀喜。
今日はたまたまホームランを打ったが、現在はまだ迷いの中にいるだろう。

ヒーローになるには幾つもの条件を満たさなければならないが、最も重要にして最も難しい条件がある。
それは、「自らをして自らをヒーローだと思うこと」だ。
なぜならば、本当の意味でヒーローになるためには、ただプレイヤーとして優れているだけではなく、自らをヒーローとして演出しなければならないからだ。

私はかつて知人が「松井はヒーローになれるかもしれないね」と言ったとき、上に挙げた条件を松井がクリアできると思えない、と答えた。
しかし、近頃の松井はどうだろう。
一つ一つのプレイに対するこだわり、インタビューへの受け答え、浮いた噂の無さ。
彼は間違いなく自らをヒーローに近い存在だと認識し始めている。

それを最も象徴しているのはフォアボールの時だ。
あまりに多すぎるフォアボールのせいで松井はバッティングを崩している。
ストライクゾーンに来る可能性が低いので、逆に良い球がきても手が出なくなってしまっているのだ。
しかし、彼は決して腐った素振りを見せない。
黙々とプレイし続けている。(フォアボールといえば、高校生の時から松井は泣かされっぱなしだが、あのときの松井も決して腐ることはなかった。敬遠されていながらも、決して気を抜いたりはしなかった。そういう意味ではあの時から彼にはヒーローになる資格が潜在的にあったのかもしれない)
ピッチャーにガンをつけたりしたらヒーローにはなれない。
ヒーローは誰からも愛されなければならないのだ。

ただ松井には、ヒーローを目指す以外のもう一つの道があるのだ。
「こんなつまんない野球やってられない!俺は大リーグに行くぜ!」といって、日本を飛び出してしまってもいい。
彼の実力なら必ず成功するだろう。
その方が彼のためかもしれない。
いや、そうだろう。

しかしながら、たとえどれほど理不尽であっても、私は願っているのだ。
松井秀喜が私達の、私のヒーローになってくれることを。
僕らはヒーローを求めてる。




<後記>
どうも野球の記事が多すぎる気がする。
しかし、頻繁にバッティングセンターに行ったり、十何年かぶりで草野球をやったりで、野球熱が高まっているから仕方ないのだ。


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