誰よりも大きな声援を浴びて、その男は打席に立った。 清原和博。 ヤツが戻ってきたのだ。 復帰後の成績は、今のところ2打数1安打・1本塁打・3打点といったところで、まずまずである。 しかし、この凄まじい声援はどういうことだろう。 このファンを裏切り続けてきた男のどこに魅力があるのだろうか。 通算成績を見た限りでは、飛び抜けて優秀な成績を残しているわけではない。 四十絡みの既婚女性との間に認知した子供を持ち、平素の言動も伝え聞く限りでは今一つだ。 そういう意味では余り人気が出そうにない。 みんな清原が凡退するのを楽しみにしているのさ、なんていう声もあるくらいだ。(私の周りの話だが) だが、そうではないだろうと思う。 やはりファンは清原が好きなのだ。 なぜなのか? それは清原が巨人ファンだからだと、私は考える。 巨人がドラフトで桑田を指名したときに涙を流した清原。 日本シリーズで巨人を相手に、優勝まであとワンアウトとした時にファーストで涙を流した清原。 どういう訳か私の中の清原のイメージはいつも泣いていた。(TVがそういう映像を見せるからだが) そして、巨人に移った宮田ピッチングコーチに、巨人のユニホームを着させてくれと頼んだ清原。(西武時代) その時もまた彼は涙を流していた。 宮田コーチの話をTVで聞いたとき、私は本当に泣いてしまった。 紛れもなく彼は巨人ファンなのだ。 そんな清原を思うとき、私は愛おしさすら感じる。 それは私だけではあるまい。 おそらく多くの人がこれからも清原を応援し続けるだろう。 そう、彼が巨人を見捨てない限りは。 |