同じ過ちが繰り返されぬように

同じ過ちが繰り返されぬように 2013_06_16

 

ラグビー日本代表がウェールズに勝ったそうである。
特に何かが懸かっているわけではない強化試合だから、どれぐらい向こうが本気だったのか分からないが。
ニュースでは選手が抱き合って喜んでいるシーンが流され、「金星」と表現されていた。
金星!
前にも聞いたことがある言葉である。
そうだ、私はかつてとんだ過ちを犯したことがあった。
同じ過ちが繰り返されぬように、私は書き残しておかなければならない。


学生時代のある日のこと、部活のキャプテンでもあるY先輩が私の部屋を突然訪れた。
そしてビデオテープを取り出すと、見たこともないような笑顔で「これを是非使ってくれ」とだけ言い残して去って行った。
ビデオテープには「日本対アメリカ」と書かれていたが、そのことに全く私は頓着しなかった。
私はラグビー部に所属しているのに、ラグビーには全く興味がなかったのだ。
なんだろう?
ビデオテープを買えないほどお金には困ってないけど・・・。
「使ってくれ」って言うんだから、まあ、観て消す用にでも使うか、と思った。

一週間ほどして、H先輩がやってきた。
「お前んとこにアメリカ戦のビデオあるんだろ?」と言われたが、私には何のことか分からない。
さあ、と首をひねる私に「Yがお前んとこにあるって言ってたぞ、アメリカに初金星を挙げた試合のビデオ」と彼は続けた。
あーアレね、と思うも時すでに遅し。
ビデオは別の番組に上書きされていた。

もう怒る怒る、H先輩。
そんなのあり得ないだろってね。
私には理解できないが、とても大事なビデオだったらしい。

しかし、私にだって言い分はある。
ちゃんと説明してくれないと分からないよ。
観て勉強しろってんなら、そう言ってくれないとね。
ラグビーやってるからって、みんながみんなラグビーのことばっかり考えているわけじゃないんだから。
もちろんそんな私の言い分は通るわけもなく、H先輩にグチグチと説教されるハメになったわけである。

今の世の中、ビデオテープはもう使ってないだろうけど、先輩がDVD-RWでも持って現れたら、いくらかはその中身にも注意した方が良いかもしれない。
如何に興味がないとしても。
まあ、そんなこと滅多にねえか。


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