万年筆が売れなくなる

万年筆が売れなくなる 2023_07_08

 

先日、司法試験が2026年からデジタル化されるというニュースを読んだ。
それを見て真っ先に、万年筆が売れなくなるだろう、と思った。
小論文でも書かないことには、今どき万年筆を買おうと思わないでしょ。
私も弁理士試験を受けるまで万年筆を使おうなんて思いもしなかったから。

弁理士試験も2次試験は筆記である。
司法試験に比べると試験範囲は極端に狭いが、一応法律論文を書かなければならない。
今はそうでもないらしいけど、昔は文章の量も印象点に入るから関係あることをできるだけたくさん出力するように指導されたものである、塾では。
ところが、ボールペンだとたくさん書けない。
ボールペンって力を加えないとボールが回らないので、めちゃめちゃ疲れるんだよね。
しかもインクだまりが出来て、答案も手も汚れる。
模擬試験を受けにいったとき、まわりがみんな万年筆を使っているのを見て、万年筆を使わなきゃダメなんだと知った。

使い始めたらもう万年筆しか使えなくなるよ。
超書きやすい。
ただし、万年筆にも当たりはずれがあって、書きやすい万年筆を見つけるのが一つの楽しみになってたな。
半端に高い万年筆を買っても外れはあるので、私は安い万年筆をたくさん買って、その中から書きやすいのを選んだものである。
筆記試験本番で使う万年筆を探すガチャみたいなもんだね。
だからニュースを聞いて、万年筆が売れなくなるだろう、と思ったのだ。

万年筆で書いていた日々は私にとっては充実したものとして記憶されているので、万年筆を使わない試験を受ける人たちがかわいそうに思える。
振り返って、キーボードを叩いた日々を懐かしく思い出す、なんてことはないだろうからね。
一方で、試験のデジタル化ももっともな話ではある。
私もいま文字を紙に書くことはほとんどない。
万年筆も使わなくなった。
日常で使わない能力を発揮させることに意味がないと考えるのは当然だろう。
万年筆が売れなくなっても致し方あるまい。


戻る