巷では中国がらみの話題でもちきりである。 外交で負けたなんて言われると、私みたいな個人主義者でもチクショー!と思うから不思議なもんだ。 私が考えても仕方ないのだが、中国への依存度を引き下げなきゃ駄目だ、他の国にレアメタル発掘しにいけよ、とか考えずにはいられない。 あー鬱陶しい。 隣に強大な国が出来る国に住む人間の不自由さである。 しかし、よくよく考えてみれば、これは今に始まったことじゃない。 幕末から日本の仮想敵国はロシアだったけど、その前は中国の王朝だった。 日本に攻め込んでくる可能性があったのは元だけじゃない。 他の王朝が来てもおかしくはなかった。 遣隋使、遣唐使の時代なんかは正にそうだ。 当時の日本からすると、海の向こうに強大な王朝が誕生した、これはヤバイ!という感覚だっただろう。 中国の王朝には、徳を施すと称して未開の周辺地域に遠征する習慣がある。 こっちは来て欲しくないのに。 うち等は文明人ですから来ていただかなくて結構です、ということを証明しなければならなかった。 そのために当時中国で流行っていた仏教などの文化を輸入した。 本来文化は特定の集団においてのみ価値を持つものだが、中華の世界では中華しかないんだから文化は同時に文明でもあったんだろう。 とにかく吸収するしかなかった。 遣隋使を派遣して、海の向こうには中華的な人間っぽいのが住んでいるんだとアピールする傍らで、当時の日本人はせっせと書物を輸入したのである。 山林を切りひらいて作った刀と引き替えに。 なんという可愛らしい国だろうか。 食い物でも武器でもない。 ただの紙を後生大事に海の向こうから運んでいたなんて。 隣に強国が出来るってのはホントに大変なことなんだよ。 これからはまた昔にかえって隣国とのつきあいを考えなくてはならない。 とはいえ、ここ100年ぐらいアジアではナンバーワンだと思ってきたら、なかなか切り替えるのは難しいわな。 民主主義だけに国民の意識が変わらないと、親中的にはなれない。 なのに頼りのアメリカさんは、相対的に少しずつ弱くなっていく。 どっかの政党は国連中心主義とか言ってたけど、国連は日本を守ってはくれない。 どうすんだよ、という話である。 可愛らしい国に戻るのがイヤなら、それなりの覚悟は必要だろうな。 ちょっと経済が悪くなると騒ぎ出す今の日本人に、とてもその覚悟があるようには思えないが。 12月に放送が再開される「坂の上の雲」をこのところ見直してたんだけど、この時代の日本人は偉大すぎるね。 |