一から十まで創作した作品を書いてみたいと、いつも思う。 でも、なかなか書くことは出来ない。 気がつくと自分のことを書いていたりする。 創作するって、本当に難しい。 最近、お気に入りの作家が出来た。 井上靖氏だ。 先日お亡くなりになったらしい。 名前は以前から聞いていたが、読み始めてまだ何ヶ月にもならない。 「蒼き狼と白き牝鹿」というゲームがある。 チンギスハーンを題材にしたシミュレーションゲームである。 以前から、このタイトルってなんのことかしら、と思っていたけど、「蒼き狼」という本を見つけて読んでみた。 史実に忠実であるかはわからないが、無骨な中にも躍動感があり、読んでとにかく面白いという感じだろうか。 長らく捉えられていた司馬遼太郎から抜けられそうな気がしている。 そうして4,5冊読んでみると、最後についている『解説』に気になることが書いてあった。 それは井上靖が書いてきているものには、彼の人生が色濃く反映されている、というか、そっくりそのまま書いてあるものもあるらしい、ということだ。 そこに登場する女性達は、彼の人生の中に登場してきた女性達が姿を変えて現れたものだ、とする人もいる。 当たり前といえば、当たり前のことである。 自分がまるで経験していないことを書くことは出来ない。 直接的ではなくても、何かしらで得た知識を元に、今こうして書いているわけだ。 そういう意味では、まるっきりの創作というものは存在しないのかもしれない。 まあ、といった具合に、井上靖氏ほどの人でも、創作するというのは難しいのである。 私が悩むことはないのだ。 それでも、書くたびに自分が削られているような気がするのは、気のせいなんだろうか? 自分の何かが流れ出ていくような・・・。 少し怖い気もする。 |