Blu-ray Disc(以下BD)とHD DVD(以下HD)の戦いがいま面白い。 この両者はいずれも次世代DVDの規格の事である。 興味のある人ならきっと知っているに違いないと思うのだが、興味のない人にはどうでもいいことかもしれない。 面倒なので説明はしないが、とりあえず容量としてはBDの方が優れているが、製造面ではHDの方が有利だ、ということにしておいて頂けると助かる。 一騎打ちって楽しいな。 私は「BD vs HD」の記事を読むのが大好きである。 「BD vs HD」を取り上げた記事をインターネット上で沢山読むことが出来るのだが、どうせ読むならどちらかに肩入れした方がより楽しいだろう。 どちらに肩入れすべきだろうかと考えてみたところ、答えは一つしかなかった。 HD陣営に勝ってもらわないと困る。 だって、BDはPS3に搭載される予定なんだから。 BDが勝つとまたSCEに利する結果となってしまうじゃないか。 くたばれSCE!と私は叫びたいのである。 実際、光記録業界ではかなりHD陣営の方が有利らしいよ、とささやかれているんだそうだ。 業界のシンポジウムに出てきたS先生の話によると、HDで決まりだ!といっている人が多かったらしい。 嬉しいニュースである。 ところが、私はあんまりこれを真に受けられないでいる。 むかーし、「コア構想」というのがあって、そこから学んだ経験は「結局コアはテレビだ」という話だったからである。 この話はゲーム話に書いてもいいぐらいなのだが、その昔NECが発売したPCエンジンというゲーム機があって、これに「コア構想」というのがあった。 PCエンジンをコアにして、様々な情報機器、最終的には家電までをもつなげてやろう、という当時のゲーム機としては大きすぎる構想だったかもしれない。 しかし、これは間違っていた。 コアになるのは5年かそこらで変わってしまうゲーム機ではなくテレビなのである。 人間の生活はテレビを中心に回っているのだ。 しかもテレビはひとたび規格が決まると、ずーっと変わらないんだから。 マイクロソフトなんかはリビングPCというコンセプトを持ち込もうとしているけど、テレビをリプレイスすることは出来ないんじゃないか。 おそらくテレビが全てを決するだろう、と私は思っている。 ここで少しなぜHD陣営が有利なのかを書いておくと、これは経営側の都合だと言うことが出来る。 DVDの需要が頭打ちになる2007年あたりに新しいメディアが立ち上がって欲しい、という要請があるわけである。 思いもよらずDVDで大儲けしたものの、今度はその儲けが織り込み済みになってしまい、経営者は何とかそれを維持しなければならなくなった。 だから、現行製造技術で安価に生産できるHDを支持する映像コンテンツプロバイダーが多いのだ。 ところが、そんな経営の都合で世の中が動くのか?という疑問がある。 だって、2007年までにハイビジョンテレビがある程度普及してないといけないんだから。 スケジュールが後ろにずれ込むと、BDの製造技術がこなれてきて、おそらくHDとそれほどコストは変わらなくなるだろう。 そうすると、HDの優位性は消えるのである。 だったら容量の大きいBDで行こう、という話になりそうなのは想像に難くない。 結局テレビの都合で記録メディアの規格も決まりそうな気が私はしている。 それでPS3が大成功、なんてことになったら最悪サイヤ人! 大体からして、結構今のテレビでみんな満足してるんじゃないの?という疑問がそもそもあったりもするのだが。 <余談> ゲーム話に書いた方がいいようなことなのだが、『バイオハザード4』をやっていて、ひょっとしたら次世代機ゲーム機に大容量メディアは必要ないかも、と思った。 GCですら大部分をリアルタイムレンダリングで描けるので、次世代機ならムービーとして持っている必要はあるまい。 だったら、大容量メディアをわざわざ搭載するメリットはないのではないか。 無駄なBDを積むことでコストアップしたPS3が大赤字!とかいう事態になったら愉快だな。 そんな気持ちのいい話になるといいのだが。 <後日談 2005_05_16> 東芝がソニー・松下と統一規格へ向けて交渉、なんて記事が出ていてすごく気になっていた。 戦わないなんてつまらない。 統一した方が消費者の利益にもつながるなんて話は嘘っぱちですよ・・・なんて思っていたら、今日になって交渉決裂の情報が出てきた。 良かった、良かった。 <後日談 2008_01_16> 今になってみると、HDで決まりだといっている人が多い、というのは嘘っぽいな。 ちょっと言い訳を。 この話を書いたときにS先生が出席していたのは、圧縮技術メインの会議だったらしく、そのせいでHD支持の人が多かったらしい。 高い圧縮率でも綺麗に記録できる→容量はいらない→HDで構わない、というロジックだったようだ。 |