野球はワールドカップに耐えられるのか

野球はワールドカップに耐えられるのか 2007_09_28

 

最近、やたらとTVで星野仙一を見かける。
あいつはなぜあんなに偉そうなんだろう?
監督としては確かに実績があるけど、だからといってぞんざいな物言いが許されるというのも不思議な話である。
それはともかく、なんで彼がしばしばTVに出てくるのかというと、それはもちろんオリンピック予選が近づいているからだ。
やるからには勝ってもらいたいと私も思う。

しかし、である。
一方で私は、野球というものが一発勝負の国際試合で成立するんだろうか?という疑問を持っている。
野球は多分に確率でしか語れないスポーツであって、日本のプロ野球ならどんなに弱いチームでも3割は勝つ。
逆に圧倒的に強いチームでも7割しか勝てないのである。
短期決戦では強いか弱いかなんて分かりはしない。
だから、百何十試合もペナントレースをやるのである。
ぶっちゃけた話、クライマックスシリーズとか、日本シリーズなんかどうでもいいのだ。

まあ、それでもある程度運も含めて勝負をするのはイイかもしれない。
ところが、国際試合になると、まだ問題は残されている。
サッカーにおけるワールドカップのように国民全体が狂ったように勝ちを追い求め始めたら、野球というスポーツが果たして成立するのだろうか?

野球は信頼と報復による抑止力によって成立していると言える。
原則ピッチャーはバッターにぶつける気はない、という信頼の下にバッターはバッターボックスに立っているし、万が一ぶつけられたらチームメイトが報復してくれるはずなのだ。
そうじゃなかったら、140Kmオーバーで飛んでくるボールの前になんか怖くて立てない。
ヘタしたら命に関わるんだぜ。
しかし、これはリーグ戦であればこそである。
しょっちゅう戦う者同士だからこそ信頼も生まれるし、ぶつけちゃやばいことになる、と思えるのだ。

ところが、一試合きりの国際試合の場合、果たして同じ感覚になるだろうか?と私は疑問に思うのである。
敵の4番バッターや守備の要のキャッチャーを退場させれば、容易に勝つことが出来るかもしれない。
例えやった側が退場になっても、フィールドプレイヤーが減るワケじゃないのだ。
ただ選手が入れ替わるだけである。
だったら、はじめから控えのピッチャーを登板させておいて、退場してからエースが出てきたっていいだろう。
これに対応するためにはルールを根本から変える必要がある。
退場させられたら、やられたチームは相手チームから好きな選手を出場停止に出来るとかね。

私がこういう事を考えるのは、サッカーの世界と比較しているからである。
サッカーの世界では意図的に服を引っ張ったり、足を引っかけたりするのはごく当たり前に行われており、クリーンなサッカーをやって負けたら罵倒されてしまう。
それこそ某越後とかに何を書かれるか分かったものじゃない。
コロンビアの選手なんか、ワールドカップでオウンゴールやって殺されちゃったからね。
国民の期待を一身に背負ってやるスポーツというのは大変危険なのである。
ルール上、許されることはなにをやっても勝たねばならないのだ。

野球は絶対に国際試合に向かないスポーツだと思う。
長い期間かけてリーグ戦が出来れば別だけど。
いまそれなりに成立しているように見えるのは、まだまだ世界中が熱くなっていないからだ。
私はそれでいいんじゃないかと思っている。
変に熱くなる必要など無い。
粛々とやればいいのだ。


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