根拠のない自信 '99_12_12

根拠のない自信 '99_12_12

 

なんか凄いプレイができそうな気がする。
このみなぎる自信は何なのだろうか?

もうラグビーから離れて何年も経っている。
OB戦や助っ人で少々プレイしたが、ほとんどやってないに等しい。
それにも関わらず、いまやったら現役の頃など比較にならないようなプレイができそうな
気がするのだ。
頭の中にスーパープレイをしている自分が次々と浮かんでくる。
それは地方の弱小チームでプレイした自分が、とてもやったことがないようなプレイの連
続のなのだ。

こんな感覚はいまに始まったことじゃない。
現役を離れてすぐに思うようになった。
「自分は現役の頃なんか比較にならないほどうまくなっている。
 あの頃より明らかに体力がのびている。
 体重も落ちて、体の切れがよくなっている。」

自分がうまくなっているかどうかなんて、実際やってないわけだからわからない。
いや、むしろ上手くなっているはずがない。
軽い筋トレとランニングしているだけで、体力が伸びているとも思えない。
体重が落ちている、といっても筋力が落ちている公算が強い。
つまりなんの根拠はないのに、自信だけがひたすら増大しているのだ。
案の定、OB戦などに出てみると、あっけなくその幻想は破られることになる。

これは自分だけのことなのだろうか?と思い、学生時代野球をやっていた知人に聞いてみ
たところ、やはり同じことを思うのだそうだ。
そういえば、彼がバットを持たずにスイングしているのをよく見かける、とても気持ちよ
さそうに。
ひょっとすると、多くの人が思うことなのかもしれない。

どうしてだろうか?
現役を離れてしまった今となっては、そんな自分を描いてみても仕方ないのに、なぜスー
パープレイヤーとなった自分を思うのか?

たった2つの例から導き出すのは適当だとは思えないが、あるいは未練があるのかもしれ
ない。
「まだ限界までやっていない。
 トレーニングすれば、まだまだ体力は伸ばせる。
 なにより現役の頃はラグビーをやっていた自分が好きではなかった。
 もっと凄いプレーが出きるはずなんだ。」
そんな思いがまだ自分の中に残っているのは否定できない。

『もう一度やってみるか。』
なんとはなしに言葉に出してみたくなる。
しかし、それを言葉にすることを恐れる自分がいる。


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