一億総お笑い時代

一億総お笑い時代 2005_03_16-20

 

笑いを取らなければならない、と思うことがある。
これはもう強迫観念だ。

ある日、居室に戻ってくると、M氏とA氏がまじめな顔をして小声で会話していた。
なんとなく漂う重苦しい雰囲気。
そのとき私は、笑いを取らなければ!という思いに駆られた。
それは強迫観念のようなものであった。
咄嗟に私は、
「これ以上、顔のことでAくんを責めないで!!」
と叫んだ。
一か八かだった。
A氏の顔が中日の川相に似ているからといって、特別醜いわけではなく、だからこそ叫んでみたわけだ。
本当に醜かったら、これは言えない。
案の定ふたりは大爆笑。
狙い通りの笑いが取れて私はホッと胸をなで下ろすのであった。

どうも最近TVなんかを見ていると、みんな誰も彼もが笑いを取ろうと必死である。
お笑いじゃないのに、やたらと面白い。
おまけに素人でも「ノリつっこみ」や「かぶせ」を使ってくるヤツとかいるし。
しかし、みんながみんな笑いのテク持っているわけじゃないので、自虐ネタに走ったり、暴露ネタに走ったりする輩もいるわけである。
不味いものを食わせて、リアクションに期待するのも多いな。

ああいうのを毎日見ているせいか、どうも笑いを取らなければならないような気がしてしまうのである。
私は芸人でも、芸能人でもないというのに。
そういう雰囲気があるんだよな。
常に頭の処理能力の何割かを笑いに割り当てなくてならない有様で、大変困っている。
どうして人間というのは、そんなに生きづらい世の中を作ろうとするのか。
面白くない人間がいたっていいじゃないか、と思うのだが、それもまたシャクに障るのである。
だってさ、あいつ面白くないよね、って言われるの、耐えられないぜ。


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