負荷のデザインとエンターテイメント

負荷のデザインとエンターテイメント 2009_09_24

 

最近になって気付いたのだが、ビーチバレーは意外と面白いかもしれない。
決して水着ギャルの話ではない。
極めてまじめな話をこれから書こうと私は思っているのである。
しかし、この話を書くにはどうしてもバレーボールに触れなければならなくて、これは非常に気が重い。
バレーボールが好きな人、或いは経験者が読んだら怒るかもしれないので、該当する方は読まないで欲しいものである。

スポーツはルールに則って行われるものである。
つまりルールは負荷を定義づけるモノであって、ゲームの世界で言うところのゲームデザインとまったく同じモノだ。
したがって、スポーツにはゲームと同じ考え方が適用できる。

私は以前からバレーボールはゲームの視点で考えるとあまりいいスポーツではないのではないか?という疑問を抱いていた。
その最大の理由は背の高いことが有利すぎることにある。
バレーボールゲームを創るときは、背が高いチームはレシーブがヘタ、という具合にトレードオフを入れることが出来るが実際はそうではない。
背が高いって事は同時に手も長いということなので、ボールを拾える範囲が広がる。
背が高いからといってレシーブがヘタという事にはならない。
スパイクにせよ、ブロックにせよ、背が高い方が圧倒的に有利。
つまり身体的に背が高い人間をそろえた方が圧倒的に有利、ということであり、プレイする人間を大きく制限する。
これは果たして負荷のデザインとして優れているのだろうか、と思うのである。

私がデザインする人間であれば、心肺系に負荷を掛ける要素を入れるな。
背が高い人は心臓に負担がかかるので、持久要素を入れてやった方がいい。
バスケットボールなんかは、コートを走り回るから、小さい人でもまだ活躍する余地が残されているのではないか。
本当はあまり交代出来ないようなルールにした方がいいはずだが、そうすると今度はパフォーマンスが落ちる。
エンターテイメントとしてそれでは成り立たないので、頻繁に交代できるようになっているのだろう。

バレーボールなんかは、一点取る度にハイタッチして走り回っているところをみると、心肺系にかかる負荷はおそらく小さいのだと思われる。
ホントに疲れてたら無駄に走り回らないからな。
1回ボールにさわったらコートの外を一周走ってこないと次のプレイに参加できないようにするとか、何か心肺系に負荷を掛けたらいいのに・・・、と私はいままで思っていた。

ところが、よく考えたら、ビーチバレーは良くできてるんだよ。
あれ、足下を悪くすることで、心肺系に負荷を掛けて背が高いことの有利さを消す作用があるな。
あんまりジャンプできないから背が高い人でも、叩きつけるようには打てないし。
これはひょっとしたら、バレーボールより面白い競技なのではないかと思うようになった。

面白いかもしれない。
だが、プレイして面白いことと観て面白いことは必ずしも一致しない。
パフォーマンスを制限する方向で負荷を掛けると見栄えが落ちる。
野球に対するソフトボールなんかもそうだけど。
ビーチバレーを観るより、バレーボールを観た方が面白いんじゃないか。
エンターテイメントとしてはビーチバレーの方が優れているとは言えないだろう。
だからこそ、水着ばっかりに注目が集まるわけである。
なかなか物事はうまくいかないものだ。


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