実家の庭には困った樹が植えられている。 隣の敷地から1mも離れていないところに、高さ5メートルにもなろうかという樹が植えられているのだ。 隣に人が住んでいないから文句は言われないが、放っておくと隣の屋根を破壊しそうなので、私はその樹をちょこちょこ切っている。 これがまた切っても切っても成長するんだ。 夏なんかすごい勢いで伸びるの。 なんだこれ? ネットで見つけた「樹木検索くん」で調べたところ、おそらく榊だと思うのだが、榊だとすれば最悪10mにも成長する。 一体何を考えて、うちの親は植えたのだろうか。 バカすぎるにもほどがある。 文句の一つも言ってやりたいところだが、今となっては文句を言うことも出来ない。 弱ったことだよ。 いずれ面倒見れなくなる日が来るだろう。 切り倒さないといけないかもな。 しかし、庭を眺めていると悪い樹ばかりじゃない事にも気づく。 一番良い位置に植えられているサザンカ(たぶん)は、非常にお行儀が良い。 全然伸びない。 私が子供の頃からほとんど成長してないな。 枝なんか触るとポキポキ折れるほど脆く、もう随分な古木なのだろうと推測される。 そのくせ、毎年冬になると綺麗な花を咲かせてくれる律儀なヤツだ。 それも一斉に咲くのではなく、少しずつ咲くので、長く楽しむことが出来る。 幹がまっすぐに伸びないで、曲がりながら分かれていく枝ぶりも良い。 しかも、冬に咲く数少ない花だから、蜜を吸いに小鳥たちがやってくる。 なにやら枝が揺れる音がするなと思って外を覗くと、大抵小鳥が枝を揺らしているんだな。 なかなか風情があるね。 見る人が見れば詩の一つも詠みそうな景色である。 私は詠めないけど。 そういえば、昔は庭師に手入れしてもらってたこともあった。 観賞するつもりの庭だったんだよ、昔は。 それがいつの間にか適当にもらってきた木を植えて、生えたい放題になっちゃったんだ。 植えるなら観賞に堪えるヤツを植えないと。 植える場所も考えて。 そうじゃないと、あとの面倒を見るのも大変だわい。 |