「為せば成る、為さねば成らぬ、何事も」という句がある。 上杉某という偉いお方のお言葉なんだそうだ。 普段これを使っていて、「これおかしいぞ!」と思う人はまずいないだろう。 しかし、この句を分解して考えると、ちょっとおかしいことに気付く。 「為さねば成らぬ」の方は良い。 「為す」事が「成る」ことの必要条件だと言っているわけだ。 なるほどその通りである。 まずやってみなければ、何事も始まらない。 一方、「為せば成る」はどうか? これはマズイ。 「為す」事が「成る」事の十分条件だと言っている事になる。 どんな事でもやってみると、必ず成功してしまうのだ。 そんなはずはないだろう。 とはいえ、私達は「為せば成る、為さねば成らぬ、何事も」を実現させていきたいのである。 「為す」事は「成る」事の必要十分条件でなければならないのだ。 そこで。(というのも、かなり強引な展開なのだが) 私は宣言してみた。 「Mさんに一周差つけて勝つ」と。 もうちょっと説明すると、「日頃研究三昧で運動不足だが、私より7センチ背が高く35キロ体重が軽いMさんに、一周650m×5周のマラソン大会で一周差つけて勝つ」という事である。 「為せば成る、為さねば成らぬ、何事も」が本当ならば、相当の努力と引き換えに私は勝つはずだ。 元々この話はMさんの運動不足をからかっての発言だった。 しかし周りの人間が一周差は絶対に無理だと言うので、「よし、やってやろう」という事になったのである。 いったいMさんがどの程度のスピードで走るのか全く見当も付かないのだが、私には根拠のない自信があった。 誠に不思議な事である。 この戦いには一万円が賭けられる事になった。 もっとも、マラソン大会が開催されるかどうか、それ自体が怪しくて、この戦いはあまり現実味を帯びていなかったのだ。(毎年やってるワケじゃないから) ところが、9月からMさんが某大学に赴任する事になってしまった。 もう時間がない。 という事で、急遽2人だけのマラソン大会が決定! 勝負はMさんが5周走ったタイム×0.8と私のタイムを比較する事で行う。 決戦は8月22日! 果たして「為せば成る」のか!? ・ ・ ・ つづく <結果 2002_08_22> 負けた・・・。 というか、一周差つけるというよりは、限りなくガチンコ勝負だった。 潔く一万払いましたよ、ええ。 そんなわけなので、「為すとも成るとは限らねど、為さねばならぬ、何事も」ということで、ひとつよろしく。 <誤字訂正済み> 「成す」× 「為す」○ |