階段を駆け上がりたい

階段を駆け上がりたい '98_12_06

 

階段を駆け上がりたい。
いつも思う。
決して「出世する」事の比喩ではないし、階段を人生に例えたのでもない。
ただ単に、目の前にある階段を駆け上がりたいのだ。

どうしてだろう?
私は考える。

ハートに弾力を持ち続けたい。
楽しいときは笑いたい。
悲しいときは泣きたい。

しかしながら、時間という奴は人間にいろいろな経験を踏ませ、傷つく度に心を堅くしていく。
そうしなければ、まともに生きてはいけないのだ。

私が「階段を駆け上がりたい」と思うのは、あるいはそれが子供の頃の記憶と結びつくからではないのか?
まだ傷つくことも知らず、全ての情報をありのままに取り込んでいた、あの頃の自分を懐かしんでいるからではないのか?

確かに私は気づいている。
「階段を駆け上がりたい」という気持ちの中に、「階段を駆け上がらなければいけない」という思いが含まれていることを。

それでもいいじゃないか。
これからも駆け上がっていこうと思う。
体力の続く限り。


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