ある事に衝撃を受けた。 私は司馬遼太郎氏の作品を数多く読んできた。 もはや長編小説は全て読破し、残すは「街道をゆく」シリーズと、いくつかの短編・対談集のみとなったのだ。 同じ作家の作品ばかり読んでいると、物の見方が偏ってしまうし、いい加減離れなくてはいけない、最近はそう考えていた。 これを最後にしようと思っていた「街道をゆく20 中国・蜀と雲南のみち」のラスト数ページは、私の知らなかった事実がかかれている。 「中国の人は寛容だなあ。 あれだけ酷いことをしたのに、私たちを許してくれている。 中国残留孤児だって、日本人の子供と知っていて育ててくれた。 なんてすごい人たちだろう。」 私はTVなどで見かける中国の方々の態度を見て思っていた。 しかし、それだけではなかったのだ。 国交回復前から、中国は「観光外交」とでもいうべき外交を行っていた。 日本の有力者を中国へ招待して、印象を良くしておこうというものだったらしい。 それは、中国国民の一人が石を投げつけるだけでマイナスになってしまう性質の物であったため、中国政府は日本人を恨まないように徹底的に教育したのだ そうだ。 それこそ、納得しない人にはマンツーマンで、納得するまで懇切にやったという。 軍国主義が悪いのであって、日本人そのものが悪いのではない。 では、職業軍人は恨んで良いのか? 軍人も戦うことが正しいことだと信じて戦っただけだから、恨んではいけない。 では、非戦闘員だった肉親を殺された人々だけは恨んで良いのではないか。 それもだめだ、戦争というものは人を変えてしまうものであり、日本人自体が悪いわけじゃないんだ。 私はいままでの人生の中で、2人の中国人と2人の韓国人(うち一人は在日)に出会った。 何となく中国人の2人には安心して接してきたように思う。 そして私は彼らに対していい人であろうとしてきた。 彼らからもそう見えているに違いないと思ってきた。 果たしてそうだったのだろうか? あるいは・・・。 |