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あれはだれだ '98_10_15

            

あれは〜だれっだ、だれっだ、だれっだ♪
といえばデビルマンであることはいうまでもない。
つまり、みんな知っているから「知られちゃいけない」もなにもないのだ。

デビルマンといえば、悪魔の肉体をもった不動明君が人の世を守るために、いや、愛する美樹ちゃんを守るために大活躍するアニメとして記憶される。
あるいは夏休みにキューティーハニーと連続で放送されることでも知られるが、所詮それは名古屋ローカルである。

しかしながら、本来の「デビルマン」はそうではない。
ここで詳細を述べることは、このコラムの本意ではないので避ける。

かつて友人にこの本を勧められたとき、1巻と5巻だけ読めば事足りる、といわれた。
2〜4巻はTVとほとんど同じだというのだ。
1,5巻を読んで私は、激しい衝撃を受けた。
それは概ね、自分の知っているアニメ・デビルマンとのギャップであったろう。
また、永井豪という漫画家がこれほどの者であるという認識は持っていなかった。

つい先日、改めて1〜5巻まで買い求め読んでみた。
私は再び衝撃を受けた。
その荒々しい筆遣いに、その真っ黒な背景に、その激しい吹き出しに。
これを描いているとき永井豪は思ったはずである、時に人間の愚かさを、
時に人間の荘厳さを。
なぜならば、永井豪にとって、描いている悪魔もまた人間であったはずだから。

本当の「デビルマン」とは勧善懲悪ものではなかった。
ひょっとするとそれは多くの人が考えてきたテーマであるかもしれず、特に永井豪という人間を評価するにはあたらないかもしれない。
しかし、若き日の彼の心の葛藤を垣間見ることは出来るはずだ。


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