98_08_22

standing ovation '98_08_22

 

どうも日本人には、スタンディングオーベイションが似合わないような気がしていた。
たいてい観客席には応援団というのがいて、仕切ってしまう。
彼等がいることで、退屈な試合でもまあまあ楽しいということもあるので、悪いことばかりでもないのだろうが。

8月21日、目が覚めてTVを付けると、甲子園準決勝<横浜>対<明徳義塾>の9回裏だった。
事態がよく飲み込めなかったが、どうやら6対4で明徳義塾が勝っている。
松坂がベンチ前でピッチング練習をしていたので、てっきり彼が打たれたのかと思っていた。

横浜最後の攻撃。
2点とって更に2アウト満塁。
緊迫した場面に釘付けになる。
カキーン!
勢いのない打球がセカンドの頭上を襲う。
捕れるかに見えた打球は無情にも、グラブの先へと落ちていった。

その瞬間、バックネット裏のお客さん総てが立ち上がり拍手を送っていた。
それは素晴らしい光景であった。
お客さんは誰に言われるでもなく、自発的に立ち上がり拍手を送ったのだ。
もちろんそれは両校の精一杯のプレイが引き出したものに違いない。

飛び跳ねる横浜ナインとうずくまる明徳義塾ナインの対比とスタンディングオーベイションは、私の心を捕らえて放さない。
スタンディングオーベイションとは、本来ああいうものなのだろう。


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