それではみなさんに、かよちゃんが本当の気持ちを語った、
ラジカセに向かって語ったって日記に書いてありましたね。
その時の声を聞いてください。


・・・こんにちは、かよです。えーと、今日は平成8年の6月22日、
私は19才の誕生日を迎えました。えーと、ラジオを聞いてい
る皆さんにはたっくさんのお手紙をいただいて本当にありが
とうございました。おかげさまで、今、元気に学校にも通っ
ているような感じです。本当にありがとうございました。

  うーんと今日は何をお話しようかなあって考えたんですけど、
私の本音を話そうと思っています。いつもジャンベルジャンに
出る時はすごく私元気だと思います。今日も元気なんですけど、
あれはほんとの自分じゃないと思うんです。
  白血病にかかって、入退院繰り返して、何にも楽しいことな
んてなくて、天国から地獄へおっこっちゃったような感じでし
た。

  なんで私が白血病にかからなきゃいけないんだろう。なんで
私がこんなに入院しなくちゃいけないのって、何度も何度も考
えました。

  今だってなんで私が白血病と闘わなきゃいけないんだって、
文句言う相手はいないんですけど、言いたくなる気持ちでいっ
ぱいです。

  そりゃがまんできたってこともあります。元気に努めてきた
こともあります。でもやっぱり強くなんてありません。めちゃ
めちゃ弱いです。死の扉が目の前までやってきて、開けて・・・
じゃないかって毎日寝るときそう思います。ときどきがまんし
すぎて、爆発しそうになります。

  どうしても生きていたい。今死ぬわけにはいかないんです。
自分のやりたいこともいっぱいあるし、今なんて死ねません。
だけど、自分の中で、もう一人の自分がいて、元気にがんばれ、
しっかりしろって、かよらしく元気でいなさいって、言い聞か
せる自分がいるんです。だから今の私があるのかもしれません。
でも、これから先、何日、そして何年、自分の命が続くかわか
りません。その状況の中で、それでもなるべく元気に生きてい
たいと思います。

  最近、同い年ぐらいの子たちがいろんな悩みを持って自ら命
を絶つ人がいます。自分で命を絶つくらいなら私に命を分けて
ください。そうやって叫びたくなるくらいな気持ちです。

  いつも強がって生きていくのはちょっとしんどいです。
でも私にはリスナーのみなさんやドリアンさん、スタッフの皆
さん・・・ついていてくれます。それが何よりの支えです。

  このテープがみんなの耳に届く頃、私はこの世からいないと
思います。最後に弱音を吐いてごめんなさい。本当にありがと
うございました。
  かよでした。

  

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 かよちゃんは日記の中で、この歌が大好きだといって、日記
の中に詩を書いていてくれています。かよちゃんに届けばい
いなと思って、今日は一曲おかけします。
  叫ぶ詩人の会で「恋歌」

 地球の上を歩いて 人の命に触れて
 わかったつもりで叫んでいた  心を閉じたまま

 暗いビルの谷間で  笑顔を忘れつぶれてた
 強がりだらけの男と呼ばれて  吐息をためたまま
 
 だけど君が  手を握ってくれた
 知らなかったよ  こんなに逢いたくなるなんて

 メロディーなんかいらない  優しさも慰めもいらない
 生きてくことで精一杯  ラブソングなんか嫌いだったのさ

 だけど君が  ぬくもりをくれた
 知らなかったよ  こんなに歌いたくなるなんて

 地球の上を歩いて  人の命に触れて
 知らなかったよ  歌うことは生きること
 君を見つめていたい
 こんなに逢いたくなるなんて
 こんなに歌いたくなるなんて
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かよちゃんに宛てた、たくさんのメッセージがスタジオに届い
ています。いくつか紹介します。

えー、このかたは、おざわようこさん。
「かよちゃん、あなたの強さが私は欲しいです。あなたの声が
大好きです。あなたが大好きです。」

えー、このかたは青森県からしんいちくん。
「自分自身が苦しいのに、明るい声で僕たちに勇気をくれて本
当にありがとう。」

えー、そしてこのかたは、大宮のじゅんこさん。14才。
「かよちゃんに出会って、生きるという言葉がすごく美しいと
感じました。私たちにできることは、かよちゃんの分まで、
精一杯生きることだと思いました。」

えー、たくさんのメッセージとどいています。


  かよちゃんは6月30日に亡くなりました。すべての形あるも
のは、いつかは滅んでしまうものかもしれません。
  こうやってしゃべってる僕もあと30年か40年かしたら存在
してないでしょう。
  でも、一番我々にとって思い入れの強いかよちゃんの声や
かよちゃんの日記の一文字、一文字が、こんなにも僕らの胸に
届くのは、かよちゃんが心を・・・

  なんだかとてもすてきな心をみなさんに、僕に、スタッフに、
送ってくれたんじゃないでしょうか。

  彼女から心を受け取った今、僕らは決して自慢できるような
生き方はできないかもしれませんが、それでも自分らしく生き
ていこうと思います。

  僕自身は、声が出なくなるまでアーティストでいよう、そん
な決心をしました。
  それから、骨髄バンクにも来週登録します。
  彼女は、いろんな決心を僕にさせてくれました。

  友達になったよね、みんなとね。
  今後も友達でいてあげてください。
  彼女からもらった心を、みんなの心の中で大事に癒してもら
いたいと思います。


  かよちゃん本当にありがとう。

  そして、お姉さんもスタジオまできてくれてどうもありがと
 うございました。

  それじゃまた来週。