平井金山城

■平井金山城散策

平井城を見学して,その近くに城山があるとの情報を得る。さっそく車を走らせること10分弱。金山登山口を発見した。

登山口という文字から分かるように,気軽に登山を行う人が訪れるというところなのだろう。またその登山口に駐車スペースがあるので,そこを使わせてもらった。

山の入り口には杖の箱がおいてあったのだが,中をのぞくと案の定,何も入っていない空の状態。

さて山を登り始めるとまず驚かされるのが,その急峻な山道。もうちょっと手軽に登れるかと思っていたのが大間違い。でも入り口近辺から,石垣らしきモノもちらほら見えてきて期待が持てる出足である。

しかし所々にある大きな蜘蛛の巣が,また所々に木々が我が行く手を阻む様に倒れており,第一目的地であるはずの物見台へはなかなか到着しない。

本丸(主郭)までの距離を示す案内板を頼りにして,登り付いた先が物見台である。

この物見台からは平井城を眼下に見下ろすことができる位置にあるそうだが,今の状態では木々が生い茂っており中々見渡すことができない。

すでに山頂付近に来ているのだろうが,登りもほぼ無くなり,城の中枢ともいうべき主郭を目指してみることに。

ここでも細い獣道の様な通路を遮る様に木が倒れていた。ここはなんでこうも来訪者に厳しいのだろうか?などと蜘蛛の巣と供に有り難くない歓迎振りである。

また足下を眺めると,所々にキノコが群生しており,食用かはたまた毒キノコであるか区別はできない。とりあえずは何も気にせずに先を急いだ。

途中,堀切や虎口,帯郭などを散策しながら,山城巡りを楽しむ。清水刻字岩という水場を指し示す石を拝見しているとやがて主郭である本丸に到着した。 「名高かる 歴史留めし 管領の 山城の跡 永久に護らん」 という立て札が出迎えてくれた。実はこの金山城址の敷地は個人所有のもの。この山,いや城跡全体を1個人が持っているなんて,すごい財産です。

主郭には上杉氏の主要な城郭までの距離が,東と西方面に分けて案内版に記されていた。また主郭を示すものとして,平井詰(金山)城本丸跡という標が,城の案内版に支えられる様にして経っている景色が痛ましい。

この辺りは落雷が多いそうで,雷がなったら地面に伏せろなどという警告版が幾つか目に付いた。でもキノコや苔が群生しているところに伏せろと言われても,なかなか実行に移すのは切羽つまったときであろう。

ここで水分補給して一休みとも思っていたのだが,なんとなんとハチに遭遇してしまい,刺される前に退散。

その先にも虎口の跡や土橋跡,堀切跡など遺構を堪能しながら先に進むと,曲輪跡付近で人に遭遇。その人も軽装で登ってきた様だ。挨拶をし蜘蛛などの昆虫ばかりのところで人に出会えたことで,なにやらホッとした気分。

そして平成九年に発掘された井戸跡。曲輪の一片に水の溜め場として,城兵が籠城した際の飲料水などに使用されていたと思われる。そして鈩沢方面に向けて歩んでいくと,あとは山を降るだけ。

井戸曲輪より100メートルほど下っていくと,石垣をながめることができる。それが当時のものなのか,それともその後の誰かが積み上げたものなのか,説明版がないのでなんとも言えません。

鈩沢方面への道のりは険しく厳しい。登り口とは違う雰囲気。どこかのジャングルにでもまよった様な,宮崎駿の世界が目の前に。なんとも言いようがない巨石があったりと,城跡であることを忘れてしまうほど。

城を下って駐車場に戻ることには,空には雲もなくなり強い日差しとなっていた。久しぶりに山城を散策して良い汗をかかせてもらいました。
 
■平井金山城小史

平井城が平城であったことから,その詰め城であったと推測されている。いざ籠城という際に立て籠もる為の城であろう 。
 
■情報

所在地 :群馬県藤岡市
築城年 :応仁元(1467)年
関連武将:上杉顕定