熊野川 2005.9.23〜25

 

1.2年半ぶりの再会

朝10時半、志古ジェット船乗り場の駐車場でコタカハさんと再会を果たす。コタカハさんとは2003年3月の四万十川以来だ。お互い、遠い道のりをここまでやってきた労をねぎらう。しかし、のんびりはしていられない。川が待っている。すぐにツーリングの態勢へ。近くのAコープで買いものを済ませ、車2台で上流へ向かう。途中、湯の口の川原に1台残し、出発地点である田戸を目指す。

約40分で田戸に到着。ここにはジェット船乗り場があり、駐車場がしっかり整備されている。その脇に、カヌーツーリングのグループが陣を取り、ファルトを組み立てている人の姿もある。
「いよいよ熊野川下りだ!」
気持ちが一気に高まってくる。荷物を背負って長く急な階段を下る。川に降りてから組み立てるのだ。

 

2.スタート 上瀞を目指す

川原では別のグループが3艇のカヌーを組み立て、出発のための最終準備をしている。膨大な荷物を積み込んでおり、
「海まで行くんだね」
とコタカハさんと顔を見合わせた。
我々も早速準備にかかる。今回私は久々にフェザークラフトを持参。2002年4月の長良川以来、実に3年半ぶりだ。仕上がった勇姿をみて胸が熱くなる。
「よう、相棒。久しぶり 長いこと待たせて悪かったな。またいい旅をしようぜ

 
出発地点  

上流を臨む。この先が最初の瀬

 

下流を目指す他のグループを尻目に、我々は上流、上瀞を目指しパドルに力をこめる。瀞場を過ぎると、流速が速くなり、気持ちばかりの瀬となる。
「何のこれしき」
パドリングの回転数を上げ、なんとか少しずつ遡上をするが、水深も浅くなり、ここはひとまずカヌーを降りる。

再乗艇し、のんびりと瀞場を進むが、間もなく第二の難所を迎える。先程より流れは速いようだが、水深がたっぷりあるので、力で突破できるに違いない。サケになったつもりで果敢に挑む。一心不乱に両腕に力をこめると、パドルがしっかり水を掴む感触が伝わり、進んでいると実感。
「乳酸がたまってきた
などと、一人酔いしれていたが、はっと我に帰る。対岸の景色が全く変わらない。1メートルも進んでいない。もう限界、このままでは消耗仕切ってしまう。我々は再びカヌーを降り、ロープを引いた。

  

上瀞エリアでは、難所はこの二箇所だけ。あとはじっくり景観を楽しもう。川の両岸に、まっすぐに切り立った岸壁がそびえる。
「あっ、あっ、おーい」
声が壁面に反射し、静かな川面を響き渡る。ジェット船でもここまで来ることはできるが、この静けさを味わえるのは、音の出ないカヌーのみ。思わずしてやったりの笑顔がこぼれる。

 
母子の滝

 


  

大和田の瀬で引き返し、再び田戸を目指す。ジェット船もここでUターンして引き返していく。田戸に戻るまで、ちょうど往復1時間。とっても満足の行くものでした。このあとはキャンプ地と定めた湯の口の川原へむけてひたすら前へ進む。既に3時を過ぎており、ピッチを上げなければ暗くなってしまう。と思ったちょうどそのとき携帯がなった。くぼっちだ。
「今、ジェット船で小川口に着き下船した。いいよ、急がなくても。川を見ているだけでいい気持ちになれるから」

今回遅れての参加となったくぼっち。ジェット船で瀞峡めぐりをするよう話をしていたのに、途中で下船してしまったようだ。当初の目論見では、ジェット船で遊覧している最中、我々のカヌーを発見。劇的な再会となるはずだったのだが、既に一人で昼寝の態勢に入っていることだろう。

「急がなくても良い」
と言われても、一人待たせているのは忍びない。流れのほとんどない中、我々はひたすら全力のパドリングを続けた。小川口に差し掛かったときは既に4時半。土手に横たわる人影を発見。くぼっちだ!

 

小川口 瀞大橋

 

ようやくキャンプ地に到着!

 

3.ハモニカの夜

瀞大橋を過ぎ、目的地の湯の口の川原に着いたのは午後5時。すぐに車に乗り込み田戸へ向かう。行きはまだまだ気持ちが張っていたのだが、湯の口まで戻る道のりは、疲れが出て意識もうろう。くぼっちの懸命の励ましのおかげで、何とかたどり着けた。

ここで一息といきたい所だが、夜の闇はすぐそこまで迫ってきており、大急ぎでキャンプサイトを整備する。今宵はフル装備の大名キャンプ。荷物が多いので少々てこずったが、出来上がればあとはらくちん。バーベキューに地元の銘酒「本醸造 熊野川」で、再び活力が甦ってくる。

食事のあとは焚火へと座を移し、大いに語り合う。夜もふけ会話が途切れる頃、私とコタカハさん、それぞれ持参したハモニカを披露。焚火の炎にハモニカが実に良くあう。
見上げると、空一面にちりばめられた無数の星たちが賑やかに瞬いてる。夜空を旅する天の川。その中を流れ星が駆け抜ける。とっても素敵な夜だ。ランタンを消し、しばし星空に酔いしれる。

 

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