千曲川 2008.5.3〜4

1.春爛漫 千曲川

日本一の大河千曲川。昨年の秋に続いて、2度目のツーリングに出かけました。立ヶ花から湯滝橋まの約30キロ。『全国リバーツーリング55map』(以下55map)に掲載されたコースを忠実にたどりました。

9時01分、予定通りJR飯岡線立ヶ花駅に到着。降りたのは私一人。文字通りの無人駅です。去ってゆく列車を見送ると、目の前には、青空の下を悠々と流れる千曲川が見えてきました。「着いたどー」思いっきり叫びたくなっちゃいますが、ぐっとこらえて辺りの様子を窺います。今回は3人でのツーリング。仲間の到着はまだまだ後になる予定なので、のんびり時間をつぶしましょうと、川に近づき記念撮影。55mapで紹介されていたスタート地点は、あの階段を下りたところだ。あそこからスタートで十分だな。などと思い描きながら駅へと戻る。

その時携帯がなった。「海野でーす。伊藤が歩いてるのが見えるよ。そう、橋の上。もうすぐ着くから」

海野くんの到着が思っていたより早かったので、よりよいスタート地点を探すべく車を走らせました。下流、上流と走り回った結果、小布施橋のたもとが最適ということになりました。広々とした川原。千曲川をはさんだ彼方には雪を頂く山々がそびえる絶景。キャンプ地としても利用できそうです。ちょうど長野駅に着いたという桂くんと連絡がとれ、立ヶ花の2つ手前、豊野駅で合流。11時36分、今回のメンバー3人がそろいました。

小布施橋直下の河川敷は、千曲川ふれあい公園として整備されています。色とりどりの花咲き乱れる公園では、毎年4月29日に、
「千曲川ふれあい公園まつり」が開催されています。

 

2.スタート

昼食を済ませてカヌーの準備にかかりました。このときトラブル発生しました。海野艇の底がバーストしたのです。ゴムのつなぎ目の糊が劣化したようで、数10センチにわたり完全に裂けてしまっています。これでは航行不能ということで、海野艇の背もたれを私のHIVIX艇にとりつけ、2人艇として海野くんと二人で乗り込みました。去年の千曲川は井上さんと二人。千曲川は二人艇づいていますね。なんてことがありましたが、1時20分無事準備完了、いざスタート。ヤッホー!

船底がバーストした! スタート地点

日本一の千曲川、水量も豊富ですいすい進みます。おまけにこちらは二人漕ぎ。少しのパドリングでぐんぐん進みます。桂艇との距離も見る見る離れていきます。「慌てることはないよ。のんびりいこうぜ!」ペースダウンして、周りの景色を堪能しながらのツーリングにギアチェンジなのだ。

スタート時点では雲に隠れていた黒姫山の頂きが見えてきました。どっしり存在感のある姿に、往年の力士”黒姫山”の姿がが目に浮かびます。先代の貴ノ花が昭和50年春場所に初優勝をしたとき、十日目で対戦したのが関脇の黒姫山。黒姫山は上手出し投げで敗れたのですが、このときの実況、「出し投げ、出し投げ、出し投げぇー」てアナウンサーの絶叫が甦ってきました。

立ヶ花橋が見えてきました。55mapでのスタート地点でもあり、いよいよツーリングの始まりと、気持ちも更に高まってきます。立ヶ花橋を過ぎると、まっすぐ北に向けて進んできた千曲川の流れが北東方向へ向きを変えます。りんご畑の白い花が右手に迫ってきました。

 

約1時間漕いで休憩。自然と笑みがあふれます。

3.ホワイトウォーター

休憩後再スタート。この先、替佐(かえさ)から今日の目的地である古牧橋まではホワイトウォーター区間。山が両岸に迫り、川幅が次第に狭くなり、瀬の訪れを予感させます。瀬音が聞こえてきた。いよいよホワイトウォーターの始まりです。

まずはリンゴの瀬。豊富な水量が集中してきて、中央部の波が高くなっている。岩などはないようなのでそのまま突入。ざぶん、ざぶん、と大波をかぶる。前から横から、波が押し寄せる。前に座る海野くんはずぶ濡れ。海野くんが盾となってくれたので、私の被害は比較的軽い。ラッキーなのだ。

続いてロングの瀬。「名前のとおりまさに長い」とは55mapの弁。200メートル近く続く。先ほどのリンゴの瀬よりも更に波が高いようだ。でも大丈夫だろう。いざ突入!

1メートルほどの波が続く。2人艇の後ろのコックピットからだと、前に座る海野くんは、波を越えるたびに2メートル以上は浮き沈みしているように見えます。さぞや恐ろしいことだろうなんて思いましたが、やっぱりスリルを楽しんでいました。瀬をクリアして二人して大笑い。桂くんも無事でした。

 
 
 

いざ突入!

クリア!

4.高社山

ロングの瀬を過ぎてしばらく進むと、目の前にとってもかわいい山が現れました。山らしい山。漢字の「山」はこの山をみて作られたのではないかと思いたくなるような山です。高社山です。高井富士とも呼ばれています。後でしったことですが、唱歌「ふるさと」を作詞した高野辰之が生まれたのがこの辺り。替佐駅の西方の丘陵地には高野辰之記念館もあります。「ふるさと」に描写された山は別の山だそうですが、ふるさとを強く感じさせてくれます。

また、野田知佑ハモニカライブでお会いしたことのあるイラストレーターの藤岡牧夫さんの作品、『風に吹かれて 信州の四季』の中に、この山をモチーフにしたと思われる「キツツキの秘密」というのを発見しました。藤岡さんのページからのぞいて見てください。

 

高社山の下に古牧橋が見えてきました。今日のゴール地点です。橋をくぐったところで上陸。ここでのキャンプも考えていたが、辺りはみんな畑になっていて、なかなか難しそう。カヌーを引き上げてここに置いて、スタート地点小布施橋に戻ることにしました。

古牧橋脇に立てられた標識によると、ここから日本海(新潟の河口)まで193キロもあるという。四国の吉野川が194キロ、四万十川が196キロ。千曲川(信濃川)のなんと長大なことか。

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