ティータイムの部屋


ホットケーキミックスで
カントリーおやつ

キャロットドーナッツ、
バウンドケーキ、
ブルーベリーマフィン
チョコケーキ

ホットケーキミックスはホットケーキを焼くだけではありません。
ベーキングパウダーや香料など いろいろ入っているので、
忙しい人のおやつ作りには 失敗しらずの強い味方。

【キャロットドーナッツ】・・・・人参、くるみ、レーズンをいれました。
[材料〕12個分 ・ホットケーキミックス・・・・200g ・卵…1個 ・牛乳50cc ・人参すりおろし・・・3分の1本 ・レーズン・・・大さじ3   ・揚げ油、打ち粉(小麦粉)各少々
[作り方〕 @卵を入れてほぐし、牛乳、人参のすりおろしを加えてまぜ ホットケーキミックスをふるってくわえる。
A@を手でまぜてこね、レーズンとくるみを加えて 打ち粉をした台でまとめ、15分休ませる
B12等分して俵型に形を整える
C揚げ油を150度くらいのぬるい油でゆっくり揚げる。 膨らんできたら上下をかえし、全体が狐色になるまで揚げる。 油を切り、シナモンシュガーを振る。

【バウンドケーキ】
〔材料〕(500ml入りバウンド型1個分) ・ホットケーキミックス50g ・とかしバター50g ・卵(Lサイズ)1個 ・牛乳大さじ1 ・砂糖大さじ3
〔作り方〕 @卵と砂糖をいれたボールを湯せんにかけながら 泡立て(4倍に膨れるくらいが目安)、さらに2分泡立てる。
A牛乳を加え、溶かしバターと振るったホットケーキミックスを2回に 分けて加えてゴムベラで混ぜ合わせ30分ねかせる。 Bクッキングシートを型にしいて生地を流し、底を軽く台に 打ちつけて空気を抜き、170度のオーブンで30分焼く。 竹串を指して生地がつかなければ出来あがり。

応用;【ブルーベリー・マフィン】
〔材料〕(ホイルカップ8個分) ・ホットケーキミックス50g ・とかしバター40g ・卵(Lサイズ)1個 ・砂糖大さじ1 ・ブルーベリージャム大さじ4
〔作り方〕 バウンドケーキの作り方同様にし、Bの直前にジャムを加えて さっと混ぜ、型に流して焼く。

【チョコナッツケーキ】
〔材料〕(500ml入りバウンド型1個分) ・ホットケーキミックス20g ・無糖ココア20g ・卵1個 ・砂糖大さじ5 ・バター20g ・生クリーム大さじ2 ・きざんだナッツ(くるみ、アーモンドなど)
〔作り方〕 @卵を卵黄と卵白に分けて、卵白は砂糖の半量を加えて 角が立つまで泡立てる。
A卵黄と残りの砂糖を別のボールに入れて、白っぽくなるまで 泡だて器で混ぜ、溶かしバターと生クリームを順に加えてよく混ぜる。
BAにホットケーキミックスとココアを振るって加え、ざっと混ぜたら  @のメレンゲを2回に分けて加えて、ゴムベラで全体を大きく混ぜる。
C型にクッキングシートを敷いて生地を流し入れ、刻んだナッツを散らし 170度のオーブンで30分焼く。  竹串を指して生地がつかなければ出来あがり。


エッセイ・・・・このレシピにまつわるドーナッツの思い出

「ホットケーキの素でドーナッツができるの?教えて!」
電話の向うで彼女の声がはずみました。
「マフィンもバウンドケーキもできるわ。小麦粉で作るより簡単よ」
私はレシピを彼女にFAXで送りました。
彼女には8才の息子さんが一人いました。
ドーナッツが大好きなのです。  
「あの子は、たくさんドーナッツをつくってもらったのかな」
数日後、そう思って電話すると、彼女の声は沈んでいました。
「来週から息子が入院するの。
それまではどこへいってもいいと 言われたから、
ちょっと田舎の実家につれていってくる」
「・・そう。いってらっしゃいね」
「覚悟は出来てるんだけどね。ついに来たっていう感じ。」
そんな会話を交わしたのは1年前の夏でした。
私はこの8月にたくさんのドーナッツとバウンドケーキをもって
彼女の家をおとずれました
やんちゃな息子さんの声はなく、
持ち主を失った学習机とランドセルがそのままになっていました。 
4才から病気を指摘されていた息子さんは
5年の闘病生活の後に亡くなりました。
二人きりになって、彼女ははじめてこんな話をしてくれました。
「いよいよだめだとわかったとき、
もう見ているのがつらくなってね、
息子を抱いて高層マンションの階段の踊り場に立っていたの。
夫ももういないし、苦しむ息子をこのまま看取るだけかと思ったら、
もういいやって思って。
仕事もいちおう整理してあったし、
ふたりで逝こうって、ふっと思ってね…」
息子さんは、「死ぬの?どうして?」といったのだそうです。
そして泣いたのだとか。こわかったのでしょうか。
「そうじゃないのよ。こう言ったの。
『僕はママが作った人間だからママが死んだらって思うんなら
それでもいいと思うよ。
でも、ママはだめだよ。
看護婦さんなんでしょ。
誰かがママのおかげで元気になれるんだから、
だから死んだらもったいないから』 って。
『誰かを元気にしてあげなくちゃ。
僕、病院の看護婦さん、みんな好きだから、
ママのことも好きな人がいると思うんだ。だからずっと生きてて』って
・・そういうのよ」
彼女はそのあと、最後まで息子さんと戦いました。
息子さんは、今年の春、大きな呼吸をひとつして、逝きました。
「入院前に二人で
ドーナッツとバウンドケーキを作ったのが、いい思い出かな」
「…・ごめん。じゃあ、こんなものを持ってきちゃったら、辛かったわよね」
「いいのいいの。一緒に食べよう。
  あの子『上出来じゃない!』って喜んでた。
  もっと早くレシピをきいとけばよかったって思った。
   おやつなんて手作りしようって思ったことがなかったから」
彼女は笑いました。
そして、しっかりした声で言いました。
「来月から郷里に帰るけど、
 『看護婦さんなんでしょ』っていわれたんだし、
  やっぱり他の仕事はできないわ。
  この仕事があってほんとによかった」

・・・・・・・・・・・2000年2月発売予定・日本看護協会出版会
ナースのための料理エッセイ&レシピBOOK(仮題)/武田三花著・・・より


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