TRPG日記(99年11月)
11月28日
使用システム:トーキョーN◎VA The Revolution
参加人数:5人
卒業論文が佳境を迎えつつある中、サークルZOROのじゅんさんがこちらにやってくるというので急遽セッションを企画しました。ところが誰がRLをやるかが当日まで分からず、RLをやらないならシナリオを作る時間を省いて卒論をしたい私としては大弱り。結局、「いや、きっと主張したらRLができる」と決意してシナリオを作りましたが。
実は前日の夜までシナリオは全然出来ませんでした。卒論に追われていてそれどころでなかったのもありますが、「情報を上手く入手して処理しないと解決できないシナリオ」を目指すという基本コンセプトを先に決めてしまっていたため、なかなかそれに合うシナリオが思いつけなかったからです。前日の夜にはパソコン通信のチャットで「明日N◎VAのセッションなんですけど……」といろいろな人に意見を聞いたりし、ある人などは導入部分を実際にセッションの形で示して下さい、大変助かりました。
実際にシナリオが形になったのは当日朝。14時開始だったのですが、その日はセッションに参加しない友人宅で事前の仕込みをして、実際についたのは14時半。簡単な自己紹介をしてから15時過ぎにセッションを開始しました。
0.承前
A : は? しかし……
B : これは決定だ。反論はゆるさん。
A : 本当によろしいのですか? N◎VA軍が撤退などと……。
B : 構わん。何度も言うが、これは相談ではない。決定なのだ。
1.序
粕川うららといえば、以前は突撃ジャーナリストとして勇名をはせ、Voice From Earthという団体の代表。いわばビックな人です。その粕川が神崎紅葉(くれは・じゅんさんのキャスト・女性)に接触してきました。曰く「N◎VA軍撤退という情報がある。真実を探ってほしい」 この驚愕の話に驚く神崎でしたが、依頼が事実関係の確認のみであったことと、ビックな人の頼みということで引き受けることにします。
一方羽島咲(女性)はキューという怪しい男に「このテープを預かって、明日どこかのマスメディアに持って行って欲しい」と言われました。なにやら怪しいのですが、持っていけばいいだけということであっさり依頼を引き受けることにしました。N◎VAで一番大きなテレビ局にテープを持ち込んで依頼達成。何がなんだか分からないけれど、ぼろい儲けになりそうです。
城戸藍洛(男性)はキューという人物から電話で「忙しい私に代わってN◎VA軍の裏を探って欲しい」と頼まれますが、詳しいことについては「また連絡する」と着られてしまいます。
フィオナ(女性)は突然謎な人物に襲われますが撃退して難を逃れました。
謎が謎を呼ぶような予感を漂わせつつ、事態は緩やかに進行を始めます。
「……今に始まった訳じゃない。気づかなかっただけさ」 − 神代 霞 −
2.胎動
……先ほどから繰り返しお伝えしているとおり、N◎VA軍がN◎VAから撤退する模様です。当局が入手した情報によりますと、稲垣司政官自らがこのことについて発言した模様。時期は不明ですが、撤退の方針は決定事項として処理されているようです。これによりましてN◎VAは大きく変わるでしょう。特に、N◎VA軍撤退後の勢力争いは熾烈を極めることが予想され、しばらくは予断を許さない状況が続きそうです。
N◎VA軍撤退に関するニュースは以上です。また新しい情報が入り次第お伝えいたします。
では、次のニュースです……
3.惑
紅葉は精力的に情報収集を開始。ニュースソースが羽島であることを突き止めて接触を図ります。
一方、相も変わらず襲われ続けるフィオナ。しかしその中で、どうやら自分が羽島と間違われていることに気がつきます。この人物について調べを進めていった結果、フィオナは羽島のもとへとたどり着きました。
キューからの指示で情報屋を訪れる城戸。そしてN◎VA軍駐屯地を訪れた彼は、どうやらN◎VA軍が本当に撤退準備をしているらしいことをつかみます。この時彼が、情報があまりに安易に入手できすぎることに気がつけば彼自身の展開はもう少し違ったものになったでしょう。しかし現実はそうではなく、「キューから聞いた」という幾つかの企業に「N◎VA軍撤退はほぼ確実。情報元は羽島」という返事を繰り返したのでした。
羽島は自宅前で紅葉に出会いました。物陰にはフィオナが隠れていましたし、羽島もそこに現れました。まさに役者がそろったこの状況。そこへキューがやってきて羽島に報酬を手渡します。が、それは城戸が電話で聞いたキューの声とは異なっていました。
「あの事件は思い出したくないわね。うちの会社が手を出さなくて良かったわ」 − 雅原志津枝 −
4.激震
……緊急ニュースをお伝えします。先日発表された「N◎VA軍撤退」について稲垣司政官は臨時の記者会見でこれを否定。何者かによる証拠のねつ造であるとした上で、N◎VA軍を陥れようとする凶悪な事件であるとの見解を示しました。
そもそも今回の「N◎VA軍撤退騒動」は、稲垣司政官自らが側近に語ったテープがマスメディアに持ち込まれたことに端を発しています。専門家がこのテープについて分析、稲垣司政官自らの肉声であると確認したため公表されました。しかし稲垣司政官はこれを否定。自らの肉声ではないと断言した上で、「最近は技術の向上により、他人の声でも修正を加えれば肉声と変わらない音声を作り出すことが可能である。このような事態を招いたずさんな分析には怒りと失望を覚えると同時に、以後はマスメディアがこのようなものを安易に取り上げないことを求めたい」と述べています。以後、専門家の分析方法と共にマスメディアのあるべき姿について問われることになるでしょう。
以上、緊急ニュースをお伝えしました。引き続きチャンネルはそのままでお楽しみ下さい。
5.収束
ここで紅葉はキューについてを聞き出し、さらなる調査を開始。キューがN◎VA軍の軍人であったこと、つい数日前に除隊になっていること、特にやめる理由がなかったこと、以前数日間上層部に呼ばれて隊を休んでいたこと、などを調べ上げます。
ここまで調べ上げると、紅葉は依頼主である粕川うららと接触。状況報告を済ませます。そしてうららの問いに答える形で自分の推理を披露。それは「N◎VA軍撤退は狂言で、その後がまを狙う企業を危険分子として一掃するための策略である」というものでした。うららとの契約はここまで。以後の行動もレポートすることにして、紅葉はキューの元へ向かいます。
城戸はキューからの連絡を受けます。依頼された調査内容の報告と報酬の受け取りに関することでしたが、ここで彼はキューに「お前は本当にキューか?」という問いを投げかけます。結果は「自分は間違いなくキューだ」というもの。話の流れから「偽物のキューは殺してしまっても全く構わない」ということになり、彼はキューの元を訪れることになります。
フィオナと羽島はチームで行動していました。互いの情報を交換し、新たに情報を収集した結果、羽島と間違えてフィオナを狙ったのがキューの仕業であることを突き止め、舞台はキューの元へと……。
「危険はどこからでもやってくる。なに、N◎VAに限った話じゃないさ」
6.突入
キューの家の前。期せずして4人が集結しました。巧妙に隠されていたはずのキューの居場所。それがなぜ、ある時を境に垂れ流されるようになったのかという疑問を抱きながら。
と、出てくる人がいます。その顔はよく見知ったもの。新N◎VA司政官稲垣氏です。彼は戸口の向こうのキューに「裏切り者がどうなるか分かっているだろうな」と言って去っていきます。城戸は、この声が自分に電話をかけてきたキューのものだということに気がつきました(って、実際のアクト中には説明し忘れていて後日談になってしまったのですが……)。
キューは完全におびえていました。何を話しかけてもまともに答えられません。とりあえず、襲撃に備えて動員で召集した者たちに外を見張らせておいて家の中に入る一行。しかしどこからともなく煙が立ち始め、結局は家の外へ出る羽目に。使い物にならないキューは担いで出ますが、外に出たとたんに大騒ぎをされてしまいます。
「助けてくれ! 俺はまだ死にたくない!」
その瞬間、キューの頭部を一発の銃弾が貫通して……、事件は唐突に幕を引かれたのでした。
「いいか、最後っていうのはだんだん訪れるんじゃない。突然来るからこそ最後なんだ」
7.現実
……先頃のN◎VA軍撤退騒動に関連したニュースです。N◎VA軍撤退に乗じて勢力を拡大しようとした企業数社が、立ち入り調査を受けている模様です。これらの企業はN◎VA軍撤退後をにらんで様々な方面に利益供与を行い、結果としてN◎VA司政に対する悪辣な活動であると判断された模様です。
8.承前(再)
キュー : は? しかし……
稲垣 : これは決定だ。反論はゆるさん。
キュー : 本当によろしいのですか? N◎VA軍が撤退などと……。
司政官 : 構わん。何度も言うが、これは相談ではない。決定なのだ。
キュー : しかし、N◎VA軍撤退の情報に気をよくしてうごめくやからの一掃とは。
司政官 : N◎VA軍がいなくなるとなると、必ず動き出す奴らがいる。
そういう奴らはN◎VA軍にとって危険。早めに根絶しておくべきなのだ。
キュー : 分かりました。やらせていただきます。
……ところで、報酬と、私が退職した後の補償は……。
司政官 : 心配するな。約束通りの額を払う。それとも、俺が信じられないか?
キュー : い、いえ、とんでもありません!
司政官 : ならいい。期待しているぞ。
キュー : はい!
ということでした。
本当はもっといろいろありましたし、6と7の間に各々のエンディング・フェイズが存在したのですが、ちょっと失念してしまった(失礼)ので省かせていただきました。
「2」は、ちゃんと「次のニュース」を作ってありました。ちょっと著作権に引っかかるのでここでは書けないのですが、サークルZOROさんのHPのイラストコーナーに置かれている、とあるイラストに出てくる商品の紹介でした。
卒論で忙しかったので、前日の夜の段階でシナリオの準備はゼロ。そもそも誰がRLをするのかも未定でした。もし自分がRLでないのなら何も考えずに卒論に専念したいところ、やはりTRPG大好き人間でしかもちょっとやってみたかったことがあったので自分でシナリオを作ることにしました。この決定がだいたい当日の午前0時頃。
私はbiglobe(旧PC-VAN)のチャットに行ってヒントをもらうことにしました。これにつきあって下さったのが、そあらさんでした。他の人の話などを総合して、実際に導入部分を私相手に披露して下さったのです。導入部分でフィオナが襲われるあたりは、ほぼそのまま踏襲させていただきました。
翌朝。起きてあれこれ考えているうちにまとまってきたのでメモ。そもそもやってみたかったこととは「情報を適切に入手し、適切に処理しないとラストにたどり着けないシナリオ」だったので、情報をどのように出すか、どのように扱わせるか等についてを中心にシナリオを組み立てました。でも、やっぱり時間が足りなかったのでアクト時にいろいろぼろが出ましたね。このあたりはRLの完全なるミスです。もっともっとシナリオを練り混むべきだったと反省しております。
もう一つやってみたかったことは「ナレーション」でした。状況説明のシーン等でRLがただ説明するだけではだれるし、いかにも「説明されている」という感じなので出来れば何とかしたいと考えていた私は、この日アクトに参加しない友人宅を訪ねて協力を要請しました。また、その日その家に集まった他の人にも協力してもらい、ニュースキャスター役が2人、そして稲垣司政官とキュートの会話が私を含めて2人と、総勢4人がアクトに外部から協力してくれたことになります。これが結構受けていたようなのでほっと一息。これに気をよくして次回も……と思っているのでした。もちろん、今度はまた違った形で使いたいものです。
マスタリングでちょっと気を使ったのが、この日のゲストじゅんさんを中心にアクトを回すということでした。やっぱりゲストの人には活躍してもらわないと、という私の考えに基づいています。結果は、こちらが意図的にそうしようとしなくてもじゅんさんは実にすばらしく動いて下さいました。何しろ、粕川うららの依頼で動いた結果、事件の真相を95%くらいの精度でずばり見抜いてしまったのですから。これには脱帽でした。まぁ、もちろんそういうことを見抜いて下さるようにシナリオを作ったつもりではあったのですが、ズバリ言い当てられると実に心地よいですね。とてもうれしかったです。
反省点としては、戦闘に関わらない人がいたため神業の消費率が低かったことでしょうか。でも神業は使わないといけないということではないので、あんまり気にしないことにします。
実は私、戦闘系キャストを使ったことがありません。だから、戦闘が出来ないんです。ではどうやってRLを行ったのか。答えは「手空きのプレイヤーにやってもらう」でした。そう、全員が参加する戦闘がないのを良いことに私は一切戦闘をせず、データを渡して「この人で戦ってね。逃げても良いから」と実際の処理は全てプレイヤーにお任せしたのです。これってちょっと反則めいたやり方のですが、この日に限っては非常にうまくいったのではないでしょうか。何しろ参加していない人にとってはとても暇な戦闘シーンが、とても魅力的な活躍の場に変わったのですから(敵として、ですけど)。
おつきあい下さいましたじゅんさん、本当にありがとうございました。
注:文章途中に出てくる「神代 霞」と「雅原志津枝」は私のキャストです。あしからず。