TRPG日記(99年 5月)

 5月15日
使用システム:ソードワールドRPG
参加人数:6人

 失敗も失敗、大失敗。
 何が原因だったかをつらつら考えるに、既製シナリオをそのまま持ち込んだこと、余裕がなかったこと、冷静にマスタリング出来なかったことがあげられると思います。既製シナリオはそれだけでは自分たちに合わない部分があるのですが、それを見落としたがためにやや無理のあるシナリオになってしまいました。また、始めたのがすでに16:00。私は17:00には出ないと間に合わない用事があったので、実質プレイ時間はたった1時間。これで余裕をなくしてしまいました。さらに、余裕がなかった事とも関連するのですが、いろいろと腹のたつことがあったりして冷静にマスタリング出来なかったのです。感情がマスタリングに影響するようでは、私もまだまだですね。
 さて、肝心のシナリオは次のようなものでした。
 昨日パーティーをくんだばかりの一行は、冒険者の店でおばあさんの「孫に誕生日プレゼントをおくってやりたいのですぢゃ」という依頼を受けて、3日ほどかかる村まで宅配の仕事を請け負いました。ところが、国境近くで隣国の偵察部隊と遭遇したとかで、街を出るのに許可が必要になってしまっていたのです。「5人以上のパーティーは2階の窓口に」「異種族のパーティーは1階です」「神官の方は神殿の発行する許可証が別に必要です」「神殿の今日の事務受付は終了しました」「武器の携行証はお持ちですか?」 お役所仕事お得意のたらい回しで、一行はきりきり舞い。結局、盗賊ギルドに紹介してもらった偽造屋(当然違法)のお世話になって何とか期日までにプレゼントを孫に渡すことが出来たのでした。
 このシナリオ、実はとある本から取ってきたものです。初めて見たときは「なんておもしろいシナリオなんだ」と興奮して、「今度これをやろう」と決心したものです。ところが、それが思いもかけず不評。シナリオ終了とほぼ同時にその場所を出てしまったので他の人の評価をあまり受けられなかったのですが、どうもおもしろくなかったようです。
 原因はいくつかあると思います。まず第一に、マスタリングのまずさ。コミカルなものにしたいのなら畳みかけるようにマスタリングした方がよかったと思うのですが、それが欠けていた気がします。さらに、今までにないシナリオだったこと。中学校時代からTRPGをしてきた仲間たちですが、ここ数年は似たようなシナリオしかプレイしていないように思います。それはいわゆる「胸躍り、血騒ぐ」シナリオで、文字通り冒険もの。それによって、冒険者は必ず冒険をするものだという固定概念が生まれてしまったと思うのです。けれど、初期のTRPG本を見れば多分分かると思うのですが、冒険者とは街の便利屋さん的な面も持っており、おおよそ冒険とは似つかないようなことも頼まれたりするのです。 そのあたり(私は初心だと思っているのですが)を忘れている(もしくは知らない)人が多かったのかなぁと思いました。
 あと、「依頼を受けた・現金前払い・依頼主の住所は知らない・期日がある」という状況で、「依頼を履行しない方が安上がりだから、この仕事はもうやめよう」と言い出す人がいたのには驚きました。依頼を受けて、しかも断りようのない状況なのに、そのまま無視してしまえというのは、冒険者としても人間としても考えられないことです。今回の報酬は確かに少なく、依頼をやり遂げても少しプラスになるかどうかでした。それを理由に依頼を受けない、なら話は分かります。けれど、受けた後に「やっぱり安いからやめよう。依頼主の住所が分からないなら、別に断らなくてもいいよ。やめてしまおう」と言うのは反則だと思います。さらに、冒険者ギルドに長蛇の列が出来ていたときに「みんなで行ってきてよ。俺は宿屋にいるから」というのにもほとほと参りました。「だって、そういうキャラだもん」と言われたときに頭に浮かんだのは、鴻さんとの対談。

>鴻さん :乗り越えるべき障害を低く設定しすぎるマスターと、
>          それを当たり前だと思って甘んじているプレイヤー、両方悪い
>     さらに、そういうゲームは頭を使わないので、
>         お約束パターンが尽きると簡単に飽きてしまうのだ。

>鴻さん :わざわざ枷をはめるなら扱えるものにしないと、
>          プレイヤーの協力によって物事を成し遂げるというのができない

 この辺、非常に的確な指摘だと再確認しました。私自身、ついつい障害を低くしてしまう(設定段階では高くても)人なのです。で、最近はお約束パターンが尽きかけているので、以前ほど「TRPGしよう」とならないんですよね。風穴をあけたくてあえてお約束じゃないシナリオをやってみたのですが、だめでしたね。今回のようなシナリオが楽しくないとなると、あとは本当におきまりパターンを踏襲するシナリオを作るしかないわけで、それはあまりGMをやりたくないなぁ、と思ってしまいました。
 今回のシナリオ、解決方法はとりあえず3つありました。まずは実際にやった偽造屋に頼む手。そして役人に袖の下を渡す手。さらに、許可証を持っている男が宿屋で管を巻いているので、それをかすめ取る手。もちろんいずれも違法です。仕事に対する責任感と違法行為を犯してはいけないという良心。どちらが勝つかが見物でしたが、「違法行為だよ」という事を強調しなかったので、いまいち緊張感がなかったですね。このあたり、最後に言ってみたらやっぱり不評でした。「違法行為しないと出られなかったのかー」
 もし「違法行為をするくらいなら、遅れて配達して謝る」と言って長い列に延々並んだ場合、ぎりぎりで間に合うか、あるいはおばあさんが誕生日を勘違いしていたことにしようと思っていましたが、そちらの方には流れませんでした。

 今回はそんなこんなでさんざんでした。あまりに腹がたってしまい、今でもまだ収まっていません。ただ、その一因が自分にあることも事実です。プレイヤーのみなさんには、つまらない思いをさせてしまって申し訳ありませんでした。以後精進……というよりは、今後はなるべく他の人にGMをやってもらおうと思う今日この頃です。

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