彼女の笑顔で世界がかわる

 彼女は本当にすばらしい。

 彼女が歩くと誰もが振り向く。
 彼女の笑顔は世界をかえる。

 細い首。引き締まった体。しなやかな四肢。
 けれどそれ以上にすばらしいのは、その表情。

 彼女の唇。きりっと引き締まり、知的さを醸し出している。
 彼女の鼻。つんと上を向いて小生意気そう。
 彼女の瞳。光を映して淡く輝き、瞬きは空間すら揺らめかせるよう。
 彼女の眉。意志の強さと内面の柔らかさが同居している。

 そして彼女の微笑み。
 唇も鼻も、瞳も眉も。彼女は全てがすばらしい。
 けれどそれは磨かれない原石。
 笑顔の前にはかすんでしまう。

 彼女の笑顔。
 笑って細くなった目は、日を受けて怪しくきらめく。
 ああ、彼女は何とすばらしいのだろう。

 彼女は気づいているのだろうか。自分の笑顔が世界をかえていることを。

 彼女が微笑むと、世界は輝く。
 その輝きは周囲を一変させる。
 彼女の微笑むところ、世界はその姿を留め得ない。

 彼女の笑顔で世界がかわる。

 ああ、何とすばらしいのだろう。
 これでこそ、彼女を作ったかいがあったというもの。

 進め、機動歩兵AC2000。

 その日、街が1つ壊滅した。
 人々は20mはあろうかという巨大な人影を仰ぎ見て、恐怖におののいた。
 女性型の機動兵器はゆったりと周囲を見回し、目からビームを発する。
 すると次の瞬間に視線の先にあったものは跡形もなく消え去り、そこにはただ廃墟があるのみ。

 ビームを発した瞬間、空間がゆらぐ。
 すると、彼女の顔もゆらぐ。
 それはあたかも、女性型機動兵器が微笑んだかのよう。

 そして彼女が微笑むたびに、世界は変わる……。

〜Fin〜

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