魚介類

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主に『類聚倭名抄』や『延喜式』に記載のある魚介類とその調理法について、分類しています。

淡水魚

鯔(なよし) ボラ科の魚。河口付近に棲み、産卵のとき外洋に出る。
鯰(なまず) ナマズ科の淡水魚。肉は白身で淡泊、醤などをつけて焼いたり、煮て食していたらしい。
鮎・年魚(あゆ) アユ科の魚。幼時は海で過ごし、成長後河川を上り始める。美味。
C(さけ) サケ科のベニザケやギンザケなど、海水魚の総称。祭祀用、また高官の俸禄として使われ、その量は年間一万隻(隻と数える)にも上った。楚割、鮨、氷頭などに加工して食した。
鯉(こひ) コイ科の代表的な淡水魚。食用だが、脚気などの症状にも効くと言われていた。
鮒(ふな) コイ科の淡水魚の一群の総称。醤に漬けたり、鮨、包み焼き、膾、炙りものなどにしたらしい。
いぐい コイ科の魚。ウグイのこと。淡水または海水に棲み、美味。
鱣魚(むなぎ) ウナギ科のウナギの総称。昔から、夏やせにはウナギがよいと言われ、賞味された。

亀貝類

龞(かはかめ) スッポンのこと。
栄螺子(さざえ) サザエのこと。
石陰子(かせ) ウニの一種。
霊蠃子(うに) ウニのことだと思われる。
小蠃子(したたみ) 巻き貝の一種。
河貝子(みな) 今日のタニシやワニナなど、淡水産貝の総称。
小辛螺(にし) ニシ類の一種。
蚌蛤(はまくり) ハマグリのこと。内湾性の代表的な二枚貝。淡水の流入する海域を好む。うまみ成分はコハク酸で、古くから食用。
海蛤(うむきのかひ) ハマグリの一種。
文蛤(いたやかひ) アサリのこと? イタヤガイ?二枚貝、小型でホタテガイに似ている。別名シャクシガイ。
馬蛤(まて) 細長い形の二枚貝。生食、煮付け、塩ゆでなどにする。
蜆貝(しじみかひ) シジミのこと。
白貝(おふ) ウバガイ(ホッキガイ)のことと言われている。
胎貝(いかひ) イガイのこと。殻の外面が暗黒色の二枚貝。
鰒・鮑・石決明(あはひ) アワビのこと。
蠣(かき) カキのこと。
烏賊(いか) イカのこと。
鰕・海老(えび) エビのこと。
擁剱(かさめ) ガザミのこと。ワタリガニとみられる。
海蛸子(たこ) タコのこと。乾しダコなどにして食用とした。
小蛸魚(ちひさきたこ) スルメイカ・またはヤリイカのこと。
海鼠(こ) ナマコのこと。ナマコを炒ったものがイリコである。
老海鼠(ほや) ホヤのこと。
海月(くらげ) クラゲのこと。備前産が優良とされていた。
蟹(かに) カニのこと。
石蟹(いしがに) 海際の石の下に生棲しているので、イシガニというらしい。

海菜類

昆布(ひろめ・えびすめ) コンブ属の褐藻の一群の総称。
海藻(にぎめ) 海産の褐藻。ワカメのこと。
滑海藻(あらめ) アラメのこととすれば、味はワカメより落ちる。
末滑海藻(かちめ) 海産の褐藻。ノロカジメのこと。アラメを指すこともある。
海松(みる) ミルのこと。松葉を寄せ集めたようにふさふさしているので、海松という。
陟厘・海苔菜(あおのり) 緑藻類の海藻。乾かして食用とする。
神仙菜(あまのり)・紫菜(むらさきのり) 紅藻類の海藻。黒紫色または赤紫色。
海蘿(ふのり) 海産の紅藻。アマノリ・フクロノリなどの総称。
鶏冠菜(とさかのり) 海産の紅藻。美味で食用とする。
於期菜(おごのり) 紅藻類の海藻。暗紫色で毛髪状に分枝。乾燥漂白して糊の材料などにする。
海髪・小凝菜(いぎす) 紅藻類の海藻。暗紅色で細い紐状をなす。トコロテンの材料。
大凝菜(こるもは・こころふと) 海産の紅藻。革質で弾性に富み、扁平な細線状。トコロテン状の凝固物を生成しうる海藻一般。
莫鳴菜(ななりそ・なのりそ) ホンダワラのこと。
鹿角菜(つのまた) 紅藻類の海藻。ツノマタのこと。紅紫色で質は強靱粘滑。食用になる。
鹿尾菜(しすきも・ひすきも) ヒジキのこと。
水雲(もづく) モズクのこと。

魚介類の調理法

鮨(すし) 馴鮨のこと。
乾魚(ほしいお) 干し魚のこと。煮てから乾かす煮乾魚。アユ・イワシ・タイ・タコ・アワビなど。
妙(ひぼしのいお) 火乾魚。焼き干しのこと。
魚條・楚割(すはやり) 魚肉を細長く切り塩干しにしたもの。タイ・チラメ・サメ・サケなどを用いた。
馺(おさし) 魚を竹で貫き通し、日干ししたもの。ボラなど。
炰(つつみやき) 木の葉や紙を使った包み焼き。またはアメ・フナなどの腹に野菜や胡桃などを入れて焼き上げたもの。
葅(にらき) 楡の皮の粉末を用いた、酸味のある漬物。ハルニレやアキニレの樹皮を天日干しし、臼で搗いて粉末にし、これに塩を加えて漬床を作る。白貝などを使う。
鱠(なます) 魚の刺身。コイなど。
臛(かく) 魚肉を使った汁物。アユ・タイなど。
炙(あぶりもの) 炭火で炙ったもの。マスなど。
蒸(むしもの) 魚を蒸したもの。アワビなど。
後折(しりおり) 塩漬け。イガイなどを用いた。
頭打(かぶち) 塩漬けにしたもの。ニシなど。
煮塩(にしお) 佃煮のこと。
かすもみ 酒糟に漬け込んだ肉とみられる。
寒(こよしもの) 煮こごりのこと。
氷頭(ひず) 鮭の頭部軟骨。
魚醤・醢(ししひしお) 新鮮な魚にサンショウやニレの粉末を擦り込み、塩漬けにして放置し自家消化を起こさせた塩辛の類。フナ・サバ・タイ・アワビ・ホヤ・カニなどを用いた。
腊(きたひ) 魚をまるごと干して堅くしたもの。タイやタコを用いた。